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シークレット 綾辻行人ミステリ対談集 in 京都  (ねこ3.9匹)

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光文社。

綾辻行人が、それぞれのデビュー時からかかわりを持ってきた後輩作家たちと夜な夜な語る、ミステリの魅力と創作の秘密。それは、かけがえのない愉楽。噂の「京都対談」が、この一冊に!(紹介文引用)
 
2014年から2019年にかけて「ジャーロ」で連載していた京都対談を1冊にまとめたもので、そのお相手は詠坂雄二、宮内悠介、初野晴、一肇、葉真中顕、前川裕、白井智之、織守きょうや、道尾秀介辻村深月と今をときめく人気作家ばかり。佳多山大地さん司会、構成のもと、京都でお食事をしながらゆっくりミステリ談義をしようという、ミステリ読者にとってワクワクするような夢の対談集である。中には未読の作家さんや挫折経験のある作家さんもいたが、皆さん綾辻さんへの尊敬に溢れ愛情がうかがえる内容だったのでどの方との対談も偏見なく楽しく読めた。
 
内容を書いちゃうのはちょっと野暮なので印象をずらりと。
一番手は詠坂さん。一作読んで苦手認定してしまったのだが、そのお人柄も少し奇人めいていて綾辻さんにグイグイ切り込んだりしているのが面白かった。優等生じゃない感
じが一番良かったんじゃないかな。これぞ作家って感じ。
 
二番手宮内さん。あちこちで名前を見かける大物作家さんだがジャンル担当外のため未読。話聞いてるだけで天才型っぽい。
 
初野さん。大好きな作家さんで読破しているが、最近新作が出ていないような。こんな容姿なんだー、へえー。武士道と騎士道の例えが面白かった。
 
一(にのまえ)さん。未読。ラノベっぽいジャンルなので守備範囲外だったが、作品は好みっぽい。モリミーや小野不由美さんの作品を読むたびに落ち込んだというエピソードが印象に残った。
 
葉真中さん。「ロスト・ケア」だけ既読。この対談を読むと「絶叫」にも興味が湧いてきた。社会派ばかり描きたいわけではないらしい。プロの意気込みを感じた。
 
前川さん。唯一の、綾辻さんより年上の対談相手。どなた?と思っていたら、「クリーピー」の作者さん!映画観に行ったよ。好みだったけど後半が「あああ。。」だった覚えが。。でも原作とは後半全然違うらしい、読んでみようかな。
 
白井さん。実は一作を挫折している。。が、アンソロジーで読んだ短編は良かったし、ここにきてまた挑戦したいなと思った。かなり独特のタイトルばかりで躊躇してしまうのだが。。いつもランキング本に名前が上がるので読まなくちゃなあ。綾辻さんはじめ、大好きな作家さんたちが挙って推しているのよね。
 
織守さん。「記憶屋」読みたいと思っていてそのまま数年が経過。この対談で読みたい熱が高まった。弁護士さんなのねえ。特注の「本格」ピアスがかわいい。
 
そしてトリは我らのミッチー。文章を磨く、というミッチーのスタイルに感銘。綾辻さんに見出されて、今は新人を見出す側に。デビュー作から熱心に追いかけている作家さん、説明は不要よね。
 
ボーナストラックとして、辻村さん。呼んでもらえないの?と呼ばれた作家さんらに嫉妬していたというから可愛い。綾辻さんの秘蔵っ子で、辻村さん自身綾辻チルドレン。
初期の本の長さについて、削らずこのままのほうがファンがつく、と断言した編集者は凄いね。初期を読み返したくなった。
 
以上。
どの作家さんも綾辻さん愛に溢れていて、皆さんド緊張しているのがおかしい。え、綾辻チルドレンなの?とびっくりする作家さんもちらほら。そういえば故・浦賀和宏さんも綾辻さんに傾倒していて、自作を献本していたのだとか。意外だった。私も、綾辻さんに出会わなかったら今の自分はないからねえ。どれだけの人に影響を与えたのだろう。刑事が主役の旅情ミステリじゃないと売れないと言われていた当時、自分の作風を信じて書き上げた館シリーズが同じように思っていた読者層を引き込んで一大ムーブメントを引き起こしたわけだからね。感慨深いエピソードがずらり。綾辻さんに100通のファンレターとか、メフィスト賞に23回応募とか、それぞれぶっ飛んだエピソードをお持ちでとてもとても楽しめた。これは絶対にファン必読の対談集。