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月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言  (ねこ3.7匹)

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倉知淳著。東京創元社

猫丸という風変わりな名前の“先輩”は、妙な愛嬌と人柄のよさで、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。そして、どうにも理屈の通らない出来事も彼にかかれば、ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。悪気なさそうな侵入者たちをめぐる推理が温かな読後感を残す表題作や、電光看板に貼りつけられた不規則な文字列が謎を呼ぶ「ねこちゃんパズル」など、五つの短編を収める。日常に潜む不可思議な謎を、軽妙な会話と推理で解き明かす連作短編集。(紹介文引用)
 
猫丸先輩シリーズ、15年ぶりの新刊!相変わらずくわえ煙草でアルバイト生活、ふらりと現れひょうひょうと誰かの抱える謎を解決?しちゃいます。
 
「ねこちゃんパズル」
区民ホールの看板にひっそり貼り付けられていたアルファベットの羅列のメモ。それを持ち去った外国人は測量士や交通調査員と何やら親しげで…。猫丸先輩に呼びつけられ奢らされる八木沢笑。相変わらず猫丸先輩の妄言をまるっと信じちゃって翻弄させられている。ねこパズルのトリックはちょっと無理があるけど、まあ妄言だから。
 
「恐怖の一枚」
オカルト雑誌に送られてきた、男がただ突っ立っているだけの全身写真。これは心霊写真ではないと切って捨てた編集者の元に猫丸先輩が現れ…。これは本当だったら霊よりコワイ。
 
「ついているきみへ」
変人の友人から玄関先に届けられたペットボトルの蓋の謎と、わんちゃんプチ誘拐事件がリンクするお話。ちょっと強引だがお話としては面白い。しかし下ネタおじさんが若い女性に人気とか有り得なくて笑える。。大学生の恋愛模様ものとしても楽しめる一作。(デート?に突き合わせておいて連絡先教えないとかちょっと引く)
 
「海の勇者」
台風の日に開店を強行する海の家。バイトリーダーの尚洋は、海岸に海に入っていったとしか思えない足跡を見つけ大騒ぎするのだが…。違うと分かっているからいいけど、これ猫丸先輩ちょっと趣味悪い。。バイトリーダー様に対するお仕置きだったとしたら、人を結構ちゃんと見てるんだなあ。
 
月下美人を待つ庭で」
母が亡くなり、大事に育てていた月下美人を見守ることにした男。しかしある晩から3日連続で庭に侵入者が。どの人物も別人で、誰何しても誰も何も説明しない。一体これは?私なら警察に通報するけども。さておきこれはどんな庭か見てみたい。本当にそうしたくなる庭なのかどうか。情緒溢れるいいお話でもあったね。
 
以上。
さすがに15年ぶりだと、20代の自分と今の自分とでは30代(推定)フリーターくんに対する印象も違うようで。それとも講談社の猫丸先輩のほうが好みだからかな?今までみたいなキレがなかった気がする。「妄言」のほうも例えに出す推論のほうが長ったらしい上に私でも分かる真相なのでじれったいかなー。でもまあキャラや雰囲気は好きなのでまあまあ良かったのではないかと。