すべてが猫になる

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悪いものが、来ませんように  (ねこ3.9匹)

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芦沢央著。角川書店

かわいそうな子。この子は、母親を選べない―。ボランティア仲間の輪に入れない、子育て中の奈津子。たとえば、いますぐわたしに子どもができれば―。助産院の事務をしながら、不妊と夫の不実に悩む紗英。二人の異常なまでの密着が、運命を歪に変えてゆく。そして、紗英の夫が殺されて見つかった。女2人の、異常なまでの密着、歪な運命。気鋭の新人が放つ心理サスペンス!(紹介文引用)
 
芦沢さん3冊目。
 
不妊治療をしていることを誰にも言えず悩む紗英(姉)と、助産院でバリバリ働く1児の母、鞠絵(妹)。紗英の心の支えとなる奈津子。ある日紗英は夫の浮気を知ることになる。そして奈津子は紗英の遺体を山中に埋めた…。
 
共依存、という印象がとにかく強い紗英と奈津子の関係。なぜこんな男との子どもを欲しがる?なぜ奈津子が紗英の夫を手にかける?分かりやすい女同士の醜い感情と、共感しづらい事件の経緯。そのちぐはぐさに混乱しながら読み進めて行ったのだが…。
 
あああああ!!!騙された!!
 
大声で叫びたいぐらい、作者の仕掛けに見事に引っかかった。事実が判明してから、最後の100ページは息をするのも忘れそうになるぐらい一気に読まされてしまった。ああ、そういうことだったのか。。なんかこの2人おかしいと思ってたんだ。まあここでは何も書けないが、イライラする登場人物の言動全てに納得がいってしまい、語ることがなくなったとも言う。。
 
でも、仕掛けが判明してからドラマチックに話が展開して、多分そこは評価すべき内容なんだろうけども。母親の愛やら人としてどう生きるか、の自覚やらね。完全に自分の好みではあるけれど、蛇足だったかな、自分には。綺麗に騙されてそのままドロドロと沼に沈みたかった、というか。まあそれだとタイトルと一致しないんだけど。話の内容としてはちょっと気持ち悪いなーと思う要素や読んでいて傷つく言い回しもあったりで好きとは言えないのだけど、トリックが見事すぎたので3.9が落としどころかな。芦沢さんやっぱりすごい。