すべてが猫になる

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スティール・キス/The Steel Kiss  (ねこ4.4匹)

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ジェフリー・ディーヴァー著。池田真紀子訳。文春文庫。

NYのショッピングセンターでエスカレーターが誤作動を起こし、通行人の男性を巻き込んだ!刑事アメリアは必死に救助するが男は痛ましい死を遂げ、あげくに捜査中の犯人を取り逃がしてしまう。リンカーン・ライムに助けを借りたいが、彼は市警を辞めてしまっていた。一方のライムは、民事訴訟でこの事故を調査し始める―。(上巻裏表紙引用)
 
リンカーン・ライムシリーズ第12弾。
 
おおお!ここんとこちょっとずつパワーダウンしてきたかな?と思っていたが、ここにきてまた勢いが戻った感。魔術師やウォッチメイカーほど神がかってはいないが、それでも十分面白い。なんといっても今回、サックスとライムがついに…!!いやこれは読んでのお楽しみ。
 
今回の事件は、稼働中のエレベーターの乗降板が突然外れ、乗っていた一般人男性が歯車の上に落下、下腹部を潰され15分間苦しんだ挙句死亡するという痛ましい事故から始まった。ただの事故かと思われたが、やがてそれは民衆の守護者を名乗るアンチ消費主義者による連続殺人に進展する――。
 
実は今回のライム、ニューヨーク市警の捜査顧問を辞めてしまっている。なので、最初はサックス+ロナルド、ライム+アーチャー(見習い捜査官、車椅子)と完全に離れての捜査なのが寂しい。サックスの元カレ(ニック)が出所してきて俺は無実だった、とやるもんだからますますヤバイ。本当に彼女を愛してるなら、前科持ちの身の上で彼氏持ちの元カノに接触など一番やってはいけないことだと思うが。。冤罪とか有罪とか関係ない。まあその問題も同時進行しつつ、ロナルドが密売人と接触するなど一体どういうことなのか。。なんだか色々ありすぎて今回、メインの犯人の存在が弱いな。。事件もなんだかいつもみたいな芯から震えるような恐怖感が湧いてこないし。こういうテロリストじみた頭のおかしい暴力系の犯罪者と知能犯罪って結びつきにくくてリアリティが薄いかな、と思ってしまったんだと思う。だけど後半ですっかり騙されていたことが判明。(守護者のアリシアに対する心の声はアンフェアじゃないかなと思うのだが…どうなのだろう)真犯人、頭がおかしいとは言えないかな。あんな目に遭えば気が狂うかもしれない、誰でも。それだけではなく、アーチャーについてもニクい仕掛けがあってビックリ。まあ、ニックについてはそんなこったろうと思っていたわ。。そしてロナルドの友情(?)に感動…。さらにロン(わあんもう辞めたのかと思った!)が颯爽と登場でロン推しのわたし昇天。あれ?今回ひょっとして一番かわいそうなのはメル…?
 
とにかく色々騙しがありすぎてまとまらないが(話はまとまっている)、良かった!前半なんかリーガル系に走っていたのでえええ…と思っていたので。アーチャーもニックもラストの喜びへの伏線だった、良かった良かったほんとに良かった。