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風間教場  (ねこ4.2匹)

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長岡弘樹著。小学館文庫。

第百二期短期課程の仮入校を控える警察学校で、新任の久光校長が風間公親教官に命じたのは「退校者ゼロ」の教場作りだった。落伍者が出れば、責任者の風間もクビだと言う。刑事指導官時代に現場を共にした平優羽子を助教に、第九十八期の卒業生・宮坂定を現役警察官兼生徒の世話係に迎え、緊迫の新学期が始まった。風間教場では、備品の紛失、生徒の妊娠発覚など問題が頻発する。厳しい指導で生徒を篩にかけ、警察官の資質がないと判断するや即刻はじき出してきた鬼教官の、新たなミッション達成なるか!?TVドラマ化で話題の警察小説、初の長編となる第四弾。(裏表紙引用)
 
教場シリーズ第4弾。
 
大変なことに気づいた。。わたし、第3弾(「教場0」)を読んでいない。すぐ仕入れなければ。。なんで知らなかったのだろう。自分バカバカ。読むのに飛ばしても支障はなさそうだが。
 
さておき、ここにきて年末マイベストに滑り込んできたかなあ、と。もうランキング作ってるんだけどね(仮)。今回は初の長編、しかも初の風間視点ということでなかなか新鮮。あの鬼教官が結構丸くなってる、というか外弁慶(そんな言葉があるのかは知らんが)なのかな?割と内面は穏やかで優しいので意外。そして風間の目の症状が進行してるっぽいのが心配だなあ。バレバレな書き方だったので書いちゃうけど。
 
いつも誰かを退官させてきた風間が、今度は久光校長の采配で退校者をゼロにしろ、出来なかったらクビという事態に。なので、落ちこぼれや問題児、やる気のなさなどの欠点ではなく長所を見出してアドバイスして辞めさせないように奮闘するという展開。直接口でそのまま言うんじゃなくて、授業の一環で分からせるというのがカッコイイなあ。特に、マスコミ志望の兼村に対して誤報のなんたるかを見せつけたところは良かった。比嘉みたいな人間だけは警察官になってはいけないと思ったんだけどどうだろう。。
全部自分で実践してみせるのがいいのよね、風間って。プールに落とされたり爆発物作ったり。生徒のデータやなんやらを一読しただけで暗記できたり。現実の教官もこんなレベルなんだろうか。ファンタジーなのかな。色々と、洞察力が人間のそれじゃないんだけど。。
 
長編といいつつ短篇集みたいな構成だったけど、一人一人と向き合う風間が良かった。平助教もいいね。校長も最初掴みどころがなかったけど、プールの授業のあたりから結構好きになった。良かった、無事で。そしてラストの1行がグっとくる。ちょっと寂しいけど。。続編あるだろうか。ぜひ。この話の続きじゃなくていいから。