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時計仕掛けの歪んだ罠/Utmarker  (ねこ3.9匹)

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アルネ・ダール著。田口俊樹訳。小学館文庫。

一年七ヵ月の間にスウェーデン国内で起きた、三件の十五歳の少女失踪事件。ストックホルム警察犯罪捜査課のサム・ベリエルは同一人物による連続殺人だと主張するが、上司はそれを否定しまともに取り合おうとしない。しかしベリエルの主張の裏には、彼だけが知っている根拠があった。そしてついに彼は、容疑者へと辿り着く。だが尋問に臨んだベリエルを待ちかまえていたのは、予想を遥かに超える驚愕の事実だった―。『靄の旋律 国家刑事警察特別捜査班』の著者による、スウェーデンNo.1ベストセラー小説がついに上陸。衝撃のサスペンスシリーズ第一弾!(裏表紙引用)
 
2021このミス8位本ミス10位の北欧ミステリー。
 
ははは。。「変わってんなあ」っていうのが大まかな感想。北欧ものは好きでよく読むのだが、今まで読んだどのシリーズとも違う。一線を画す、というよりは「奇妙な」が正しいかな。
 
※ネタバレはしませんが真っ白な気持ちで読みたい方はこの記事は読まないほうが良いかも。ある程度の話の流れを書かないとどうにも感想書けないので。読書ブロガー泣かせの作品。
 
 
 
まずスウェーデンで発生しているんだか発生していないんだか分からない、15歳の少女連続誘拐事件に確信を持って取り組む主人公のベリエルが登場。まあ他警察ものの例に漏れず一匹狼気質というか何をしでかすか分からないヤツ。家庭に問題があり、といういつもの感じかと思いきやこの主人公自体かなりクセの強い秘密があった。それを小出し小出しにされていくうちに、今後は一度捕まえた誘拐に関わっていると見られる女性を確保。したらばこの女性にもなんだか凄い展開が用意されていて、「え、え、え?あなた、そうなの?」と翻弄させられる。そのくせ、何が読みどころかっていうとやはりラストの「事件後」だったりする。。解決してないんかい、しかもあの人がああああ。。というところで終わる。さらに、シリーズの幕開け的なお話でもあるので次作を読むならば絶対復習必須となるであろう。。知ってたら次作が出てから読んだのに。。
 
誘拐事件を追うストーリーについては、期待したほどでもなかったかと。人格、過去に問題のあるベリエルからして信頼できないわけで、なんだか頼りない。犯人の人物像については拍子抜け感が強い。しつこいんだよそんなことのために人生棒に振るなよ。としか思わなかった。まあ狂ってるんだろうけど。ベリエルらが仕掛けた罠も、なんか弱いんだよなあ。描写に問題があるんだと思う、色々。この解決も、一人を除いてこの真相は色々甘すぎる気もするし。このへんは愛読してるシリーズらに断然負けてるので、そこからはみ出した部分を個性的だと気に入るかどうかだな。公安が絡んでいるあたり好き嫌い分かれる可能性も。
 
キャラとしてはベリエルよりモリーが好きだな。
変わったモノ読みたい人やランキング本に興味のある人は挑戦してもいいかも。長いけど読みやすいし、面白いことは面白い。