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水魑の如き沈むもの  (ねこ3.7匹)

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三津田信三著。講談社文庫。

奈良の山奥、波美地方の“水魑様”を祀る四つの村で、数年ぶりに風変わりな雨乞いの儀式が行われる。儀式の日、この地を訪れていた刀城言耶の眼前で起こる不可能犯罪。今、神男連続殺人の幕が切って落とされた。ホラーとミステリの見事な融合。シリーズ集大成と言える第10回本格ミステリ大賞に輝く第五長編。(裏表紙引用)
 
刀城言耶シリーズが途中になっていたので再開。三津田さんは好きなんだけど、このシリーズちょっとばかし苦手なんだよね。名前を覚えるのが大変だし、ページ数は長いし、読むのにも頭使うんで。それにしても、なぜ自分このシリーズを「ジーパン探偵」と呼んでいたのだろう。。。ジーパン穿いてないし。刀城言耶ってそれほど難しい名前でもないし。。まあいいか。
 
というわけで感想なのだが…。う、ううーん、しんどかった。。700ページ超え。事件発生するまでが長い長い。一体いつ殺人が起きるんだ?ストーリーの主要人物はどいつなんだ?話がどこへ向かっていくのかわからないからとりあえず全員覚えなくてはみたいな。。(メモってたけど途中で放棄)満州帰りの母と子どもたちのシーンはあんなに長くなくても良くない?そもそもメインストーリーに村が四つもあって神社それぞれにそっくりな宮司がいるのでもう誰が誰だか。。水使神社、水庭神社、水分神社、水…なんだっけ、とにかく名前も似てる。そんで龍一でしょ、龍三でしょ、もはや誰でもいい。ハッキリ際立っていたのはやはり極悪じじいの龍爾かな。村の一番有力者なんだけど、怪しい雨乞いの儀式が招いた惨事のすべてはコイツのせいじゃないかって気がする。いかにも田舎の昔の権力者って感じで、「な、な、何を抜かすけえ!!」みたいにすぐ怒鳴り散らすからイライラさせられまくり。。うるさいねん。さっさと殺されろ。最後の推理も、二転三転どころか四転五転するのでだんだん腹がたってきた。どんでん返しは嫌いじゃないんだけど。
 
まあ文句?はここまで。村の怪しい風習や村人たちの秘密めいた陰湿な雰囲気はさすが三津田さんの本領って感じだったし、水中で何が起こったのか、お供え?の樽の中身はなんだったのか、などなどトリックも結構良かった。すべてが計画的ではないあたりもゾワっとするというか。人間の企みだけじゃなくて、本当に水の神様の仕業なのかもなあ、、と思うとホラーとミステリの融合っていう作品の趣旨にもバッチリはまってる。最後ほんわか?終わるのもなんだかんだホっとしたし。でもやっぱ疲れたな。
 
補足。編集者の偲さん最高だった!龍爾に「こらくそ爺ぃ!」は痛快だったよ。