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その裁きは死/The Sentence is Death  (ねこ4匹)

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アンソニーホロヴィッツ著。山田蘭訳。創元推理文庫

実直さが評判の弁護士が殺害された。裁判の相手方が口走った脅しに似た方法で。現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた謎の数字“182”。被害者が殺される直前に残した奇妙な言葉。わたし、アンソニーホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンによって、奇妙な事件の捜査に引きずりこまれて―。絶賛を博した『メインテーマは殺人』に続く、驚嘆確実、完全無比の犯人当てミステリ。(裏表紙引用)
 
「メインテーマは殺人」続編、ダニエル・ホーソーンシリーズ第2弾。まあこれもランキング本を席巻するんでしょうなあ。ホロヴィッツ3作目。
 
離婚専門の弁護士・リチャード・プライスが自宅で殺害された。凶器は高価なワインボトルで、リチャードはボトルで殴られた後喉を刺されたのだ。そして壁にはペンキで「182」という謎のメッセージが。ある女流作家が衆人環視の中リチャードを殺すと脅迫していたというが…。
 
前2作と違い、ホームズの推理方法を踏襲したすごく正統派のミステリ。とは言え探偵役のホーソーンは相変わらずの差別主義者で冷徹、自分勝手でトニーのことを振り回す。トニーは変な警部に嫌がらせ(ていうか犯罪)されるし踏んだり蹴ったりって感じ。でもホーソーンの過去がちょっとずつ明かされていく展開だったり、2人の友情が少しずつ育まれていったりとシリーズ物的楽しみは芽生えてきたかな。
 
過去に起きた洞窟事故がどうリチャード殺しと絡むのか、離婚裁判関係者は事件に関わっているのかなど、一つ一つ丁寧に明かされていく過程がいい。最後に怒涛の新展開を見せるので、スタンダードなミステリながらも実力を伺える作品かなと。
 
リアルタイムで話題のミステリシリーズを追いかけたいという気持ちがあるので、それにふさわしい作品になりつつあるかも。10作ほどあるらしいしね。