すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

インド倶楽部の謎  (ねこ3.8匹)

f:id:yukiaya1031jp:20200925214310j:plain

有栖川有栖著。講談社文庫。

生まれてから死ぬまで、運命のすべてが記されているという「アガスティアの葉」。神戸で私的に行われたリーディングセッションに参加した“インド倶楽部”のメンバーが相次いで殺される。前世の記憶を共有するという仲間の予言された死。臨床犯罪学者・火村英生が論理の糸を手繰る“国名シリーズ”第9弾。(裏表紙引用)
 
待ちに待った国名シリーズ、文庫デター。いつもネットだけど出てすぐいそいそとリアル書店に買いに行きました。その割に読むのに5日くらいかかってしまったけど…。分厚いのもあるけど、結構じっくり丁寧な作品だったからわざとそうしたところもあるかも。。
 
さて今回のテーマはインド。実業家・間原が暮らすインド亭と呼ばれる邸宅で、「インド倶楽部」のメンバーを集めてリーディングセッションが開催された。ナーディー・リーダーと呼ばれるインド人占い師(?)による「アガスティアの葉」を用いたもので、3人のメンバーがそれぞれ仕事運や死期、前世についてを教わった。しかし後日コーディネーターや前世を占われたメンバーが次々と殺害され…。そしてメンバーの死期はインド人が予言した日にちと一致していたのだ!
 
インド倶楽部のみなさん、前世とか予言とかまるっと鵜呑みにしていてかなり引く。。この占い自体はちゃんとした学問なのかもしれないが、前世での知人、身内だったインド人たちがことごとく同じ時代の日本でしかも神戸にいましたとか普通に考えておかしいだろー。ろー。ろー。まあそれについては50年後100年後ちゃんと科学的に証明されるかどうかなのでとりあえず今はこの作品では論理的に有り得ないものとして推理していく感じ。でも有り得ないと切って捨てるのではなく、信じている人々に真摯に向き合っていくのが火村さんの素敵なところ。その姿勢のおかげで解決したと言ってもいい。しかしこの犯人は全く意味がわからんな。。切って捨てないとは言っても、常識的に考えたらもうこれは異常者の思考だと思う。。1人はとばっちりだし、命を軽視してるなあ。罪については神経質なくせに。。
 
展開は色々と遅いのだけど、一つ一つ丁寧に伏線を回収していくので満足感はあった。火村さんの過去について、いつもより深く触れている感じだし。火村とアリスが前世からのソウルメイトだというくだりも本当かはともかく悪い気はしなかっただろうな。