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蛇棺葬  (ねこ4匹)

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三津田信三著。講談社文庫。

幼い頃、引き取られた百巳家で蛇神を祀る奇習と怪異の只中に“私”は過ごす。成長した“私”は訳あって再びその地を訪れる。開かずの離れ“百蛇堂”での葬送百儀礼で何が起こるのか?もうひとつの怪異長編『百蛇堂 怪談作家の語る話』へと繋がるホラー&ミステリ長編。著者の創る謎と怪異の世界。全面改稿版。(裏表紙引用)
 
うおお!なんと濃密なホラー!「怪談」というと短編のイメージがあるのだけど、ここまでなが~~い怪談を読んだのは初めてかも。初期作品ぽいのでどうかな~と思ってたのに、出だしだけちょっと入れなかっただけであとは凄くのめり込んで読めた。ていうか、もうひたすら怖かった。。。
 
「前話 百巳家の日々」と「後話 百巳家の葬送」の二部構成。前話では、格式高い旧家の跡取りとして引き取られた妾の子ども・美乃歩の視点で百巳家の様々な怪異や不気味な風習の数々が描かれる。格子の中にいる狂った祖母との対話の怖さといったら。。腐ったまんじゅう勧めてきます。。叔母や叔父や大叔父や小母さん達といった「話の通じない連中」からのイジメも腹立たしいけれど、義母の不気味さと冷たさにゾクゾク。父親も息子に興味ないし。。御堂にこっそり入った時の体験もギャーだけど、祖母の葬式がリアルに怖い。。美乃歩はついていけばいいだけの子どもだけれど、湯灌などなどをそれ用の小屋でたった1人で暗闇の中出られない状態でやらされる父親のいやがりっぷり。。わかる。これはいやすぎる。。そんな恐怖しかない暮らしの中、元乳母の民婆との交流だけが癒しだった。
 
そして後話。義母が危篤という知らせを受けて、30年ぶりに百巳家に帰ってきた美乃歩。もちろんビミョーな雰囲気の中迎えられる。。民婆元気で良かった(ホロリ)。。しかし今度は当主候補なもんだから、あの絶対やりたくない儀式を今度は本人がやるハメに。。その湯灌の描写が長いしいちいちリアル!!皮膚とか!ううう。。これだけ恐怖を引っ張れる作家さん、三津田さんしか知らない。。民婆のことで散々もめて、ほんとにあの叔母どもには腹が立ったけど、とにかく民さん見送れてほんとに良かった。色々父親の行方やら怪異やらマーモウドンのこととか判明していないけれど、次作で明らかになるのかな。明らかにならないほうが怖い気もするが。。
 
色々読んできたけど、この作品が一番好き。かなりこの世界に浸れた。如きものシリーズはミステリーってことで別格として。