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ラン迷宮 二階堂蘭子探偵集  (ねこ3.8匹)

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二階堂黎人著。講談社文庫。

探偵活動を再開した二階堂蘭子の下に、洋蘭の栽培家・賀来慎児が脅迫されている、との相談が。彼の父・レオナは著名な西洋画家だったが、12年前に不審死をとげ、母も服毒自殺していた。慎児が住む「蘭の家」に乗り込む蘭子。そこに待っていたのは、レオナの3人の元愛人たちだった。トリック満載の傑作中編集!(裏表紙引用)
 
二階堂蘭子シリーズ第11弾。短篇集としては3作目。
 
ああ、うん、いいんじゃない(えらそう)。最近のラビリンス対決にうんざり気味だったので、その後に蘭子が関わった様々な事件が3つ収録されていて新鮮な気持ちで読めた。読みやすいし、雰囲気は満点だし。あとは蘭子のキャラクターを許せるかどうか(そこが一番ハードル高い)。
 
「泥具根博士の悪夢」
十和田湖畔の森の中に建つ超常現象研究家泥具根博士の館。その霊応堂で、5重の密室の中博士が背中にナイフを突き立てられ殺害されていた。超能力者や親類など、怪しい容疑者いっぱい。超能力で殺しましたと言われても捕まえられないのがミソ。ドアの素材がそれぞれ違うし不可能状況としてはこれ以上ない感じがいい。こういう心理トリックは好きだな。犯人はなあ、そりゃ〇〇だと出来るよなあ。。思いつくかどうかを評価すべきなんだろうけど。
 
「蘭の家の殺人」
軽井沢で子育て中の蘭子のもとに、黎人の妻の友人・香織から、恋人が抱える問題を解決して欲しいという依頼があった。恋人・賀来の父親はかつて妻に毒殺され、妻も毒を呷って死んでいたのだ。その秘密を知っているという脅迫状が賀来や叔母のもとへ届いたが…。3人の愛人と妻。もうぐちゃぐちゃだな。。芸術家の乱交ぶりはなかなか読み応えあり。犯人は普通だったけど、その後わかった真相が残酷すぎて。。
 
「青い魔物」
科学者両尾博士に引き取られた幼い兄妹。彼らが体験した怪異や目撃した青い魔物は、先日発生した白人2人が胃袋を持ち去られる事件と関わりがあるのか…。少年探偵団ふうの語り口がいいね。モロ乱歩ワールド。科学者ものめり込みが過ぎるとオカルトに走っちゃうんだねえ。。ミステリというよりマッド・サイエンティストもの。一応推理はあるので楽しめるが、他の要素が濃すぎてどうでもいい。。
 
以上。
蘭子は出産してるし黎人も結婚したし(同居て)、それでもまだ探偵活動を続けるってのがまあファンには嬉しいところかな。ミステリ的にはまだまだ枯れてない気がするけど、新シリーズ始めるのも体力いるしねえ。。