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死んだレモン/Dead Lemons  (ねこ4匹)

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フィン・ベル著。安達眞弓訳。創元推理文庫

酒に溺れた末に事故で車いす生活となったフィンは、今まさにニュージーランドの南の果てで崖に宙吊りになっていた。隣家の不気味な三兄弟の長男に殺されかけたのだ。フィンは自分が引っ越してきたコテージに住んでいた少女が失踪した、26年前の未解決事件を調べており、三兄弟の関与を疑っていたのだが…。最後の最後まで読者を翻弄する、ナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作登場。(裏表紙引用)
 
お初。ニュージーランドのミステリー。
なかなか凄かった。。
 
主人公は、元経営者のフィン・ベル。人生の途中でメンタルを病み、酒に溺れ、交通事故で車椅子生活となった。人生をやり直そうとニュージーランドの南島、リヴァトンに移住する。しかしベルが引っ越してきたコテージの前住人の夫と娘は行方不明となっており、生き残った妻は生ける屍となっていた。それにはコテージの隣人であるゾイル三兄弟が関与しているようだが…。
 
主人公、元刑事とかじゃないんだ?とまずその意外性。車椅子ながらもその行動力、正義感には圧倒されるが、ちょっとしゃしゃりすぎで心配になる。というか、いきなり出だしで崖の上に引っかかって死にかけてるという。。何があったのやら。隣の三兄弟はかなり不気味だし、見つかった恥骨や付着した豚の精液やら…ちょっと引いてしまう内容。物語の中盤でベルは放火されるし、とにかくピンチの連続。まあ、皆が引っ越せと言うのに居座るからだけど。ハラハラサスペンスとしても、これだけで十分面白いのだが。。三兄弟の秘密や事件の真実、ベルの身に起きた災難などなど、ちゃんと意外な真相が最後に用意されていてすごい。その内容もなかなか驚きが。。うーん、やっぱり気分悪いというか過激な小説かも。。それを中和させているのが、ベルとパトリシアの恋愛模様かもね。なかなか出来が良かったし好みだったので次があれば読むかな。