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アンマーとぼくら  (ねこ3.7匹)

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有川ひろ著。講談社文庫。

母の予定に付き合う約束で沖縄に里帰りしたリョウ。実の母は子供の頃に亡くなり、再婚してリョウを連れ沖縄に移り住んだ父ももういない。休暇は三日。家族の思い出の場所をめぐるうち、リョウは不思議な感覚にとらわれる。この三日が、恐らくタイムリミット。三日目が終わったら…終わったら、どうなる?(裏表紙引用)
 
有川さん改名後、初めて読む作品。しかし文庫化遅かったなあ。4年て。。(有川さんの主張を知っているからちょっと反感)
 
今回は沖縄が舞台。北海道出身のリョウは、母の死後父親の再婚に伴い遠く遥か沖縄まで移住することになった。やがて大人になり、父の死後東京から沖縄へ里帰りしたリョウ。「おかあさん」と共に、家族3人の思い出を振り返る。
 
ちょっとSF要素入ってるのね。過去の自分が会いに来たり。沖縄は3回ほど旅行で訪れているので思い入れもあるし知っている場所がたくさん出てきて親しみやすい作品だった。と、思うのだが…。個人的に、リョウの父親の人物造形にかなり嫌悪感を抱いてしまって。。母に死なれて1、2年の息子の気持ちを全然考えていない言動に終始モヤモヤ。再婚相手の「おかあさん」とラブラブなのはわかったけれど、こんな男にベタボレしてしまう妻のほうにもいい印象抱けなかった。いい人なんだけどね。それも女性がどれも男から見て都合のいい理想の妻ばっかり(リョウのお相手も含め)。女性作家目線とは思えないほど。。朝ドラの母親みたいな。どうしようもない男を愛情で包み込む、みたいな。。まだリョウ父はプロのカメラマンとしてちゃんとしてるからマシだけど。なんでもかんでも、父の奇行を「あの人は子どもだから」で終わらせてしまうのもちょっと。。結構感動ストーリーのはずなのに、なんかやたらリョウもおかあさんも号泣するからしつこいな、と思ったり。。なんだろうこの私の冷めた視線。。
 
まあしかし有川さんの文体はみずみずしくて、沖縄の魅力は伝わったし、リョウの友人「金ちゃん」は素敵だったし、サラサラ読める作品ではあった。好きな人は好きだと思う。