テイラー・アダムス著。東野さやか訳。ハヤカワ文庫。
クリスマスイブ前夜、女子大生のダービーは、母の容体悪化の知らせを受け、猛吹雪のなか車を飛ばす。しかし天候は悪化するばかりで、仕方なく途中のパーキングエリアで様子をみることに。そこで偶然、一台の車の中に少女が監禁されているのを目撃してしまう。誘拐犯は居合わせた男女4人のうち誰なのか?携帯が繋がらず、夜明けまでは救援が見込めない。頼れるのは自分だけ。はたして少女を助け、共に脱出できるのか!?(裏表紙引用)
話題のノンストップ・ミステリー。
いやあ面白かった!400ページ強あって長いんだけど、ワンシチュエーションながら展開がどんどん変わっていって全然飽きるところなかった!
主人公は美大生のダービー。母親がすい臓がんの手術をすることになり慌てて愛車で駆けつけようとするも、外は猛吹雪。進めなくなって命からがらパーキングエリアに避難する。そこには4人の避難者たち。携帯の電波を拾うために駐車場に出たダービーだが、車の中で檻の中に入れられ口をダクトテープでぐるぐる巻きにされ監禁されている少女を発見してしまう。果たしてあの中の誰が誘拐犯なのか――ダービーは全力で少女を救出するため奮闘する。
最初は、いやいや、言えよ!と思ったけれど、警察も来れない電話も繋がらない吹雪はおさまらない、犯人は絶対拳銃を持ってる…となればどうしようもないかも。ゆうても知らない子どものためによく命かけられるなあと私なんかは思ってしまうわけだけども。身代金目的の誘拐なら、何もしなくても少女はいつか解放されるのでは…余計なことをしたら自分や少女や無関係の人間皆殺しになるのでは…なんて。なのでちょっとダービーにイライラしたり。でも少女のために非力なダービーがあの手この手で犯人と対決したり裏をかいたりする姿にだんだん応援する気持ちのほうが強くなった。車の鍵を靴ひもで開けたり、スイスアーミーナイフで檻を切らせたり、トイレの窓から脱出してみたり鍵を盗んだりドアに指を挟まれたり鼻を折られたり味方と思っていた人が敵だったり…。助かった!と思ったらダメだったり、ちょっとした作戦でうまくいったり。その連続なのでもうぐるぐるぐる。面白くて疲れた。犯人が強くて頭もおかしくて結構イライラするんだけども、最後の最後のページまで翻弄させてくるのはすごい。少女も頑張り屋さんだし好きだったなー。