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覇王の死  (ねこ3.5匹)

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二階堂黎人著。講談社文庫。

能登半島の最北部にある眞塊谷を支配する邑知家。『日本書紀』にも登場するほど古い豪族の末裔とも言われる名家の当主・邑知大輔は、戦時中は軍部にも影響力を持っていた大富豪。この家を乗っ取ろうという謎の弁護士の悪巧みによってひ孫の花婿候補に仕立てられた青木俊治は、途轍もない惨劇に巻き込まれる!(裏表紙引用)
 
二階堂蘭子シリーズ第10弾。って、完結してたのか…。
 
今作は完全に「悪魔のラビリンス」「魔術王事件」「双面獣事件」を踏襲。ここから読んだら確実に意味不明だと思われる。毒島という弁護士(読者からすれば、毒島弁護士にラビリンスというフリガナを付けてもいいぐらい正体バレバレな登場)から命を買うかわりに能登半島の富豪、邑知家にニセの継承者として潜り込み婿の座と徳川幕府の財宝を手に入れるよう命じられた青木。しかし花婿候補も花嫁も二人ずつのライバル対決となった。そして不可解で残酷な事件に巻き込まれる。そして隣のニューホーリー村でも村人たちが次々と悪魔を目撃し、酸鼻きわまる他殺体が出現する。悪魔の書とは何か。四本腕に顔二つの怪物とは(双面獣だろ、と総ツッコミの読者)。。
 
ちょっと島田荘司っぽい構成。全く関係なさそうな事件と事件が最後に繋がっていくという。探偵が最後の最後にやっと出るあたりも。まあ雰囲気重視だし文章は読ませるのでこういうのが好きな自分としては楽しめたのだが、ラビリンスもの最終作としてはなんとも尻すぼみな終わり方。蘭子いつの間にか出〇してるし。。推理のキレはいいけれど、幻覚とか奇行の実態ってだいたいミステリでは〇薬か〇気だからなあ。。密室もトリックもなんじゃこれえ。。ありえなそうでもいいから、大風呂敷広げて欲しかった。結構ふつう。。しかしラビリンスも考えてみたら可哀想な存在だよね。結局悪いのは人間。
 
次の蘭子ものが始動するようなのでまあ待ちますか。短編集もあるし。