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ロスジェネの逆襲  (ねこ4匹)

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池井戸潤著。文春文庫。

子会社・東京セントラル証券に出向した半沢直樹に、IT企業買収の案件が転がり込んだ。巨額の収益が見込まれたが、親会社・東京中央銀行が卑劣な手段で横取り。社内での立場を失った半沢は、バブル世代に反発する若い部下・森山とともに「倍返し」を狙う。一発逆転はあるのか?大人気シリーズ第3弾!(裏表紙引用)
 
半沢直樹③ということで。結構ひさびさ。あらすじにも、作品内にも「倍返し」という言葉が登場。ドラマの台詞が原作に影響した…んだよね?
 
東京中央銀行から子会社の東京セントラル証券に出向させられた半沢。IT企業の雄と呼ばれる電脳雑伎集団から持ち込まれた、ライバル会社東京スパイラル買収アドバイザー。でかい仕事に張り切るセントラル証券だったが、いつの間にか親会社に仕事を取られてしまった。情報をリークしたのは誰か。スパイラルのアドバイザー・太洋証券やホワイトナイト<フォックス>の企みとは。電脳とフォックス社長郷田との関係は。
 
うー面白かった。半沢ものは色々知らない言葉が出てきて勉強になるなあ。ホワイトナイト敵対的買収、スキームなどなど。新株発行やら逆買収やら、買収の防衛策として東京中央側も半沢側も色々あの手この手を使ってがんばる。犯罪は論外だけど、何百億円の仕事ってなるとみんな命がけなのね。。この人たちプライベートあるのかなっていらん心配してしまった。子会社の半沢からの逆襲に、親会社の伊佐山たちが色々と調子に乗って。。まあこの人たちも仕事だから…ははは…必死だ。電脳の社長夫婦も一応敵役かな。郷田なんかは意外と小物というか。スパイラルの瀬名社長や半沢チームの森山がいい味出してる。とにかくブレない半沢カッコイイなあ。「組織と闘うということは目に見える人間と闘うということ。それなら俺にもできる」「組織に屈した人間に、組織は変えられない」名言ですわ。
 
まあ半沢が勝つのは分かっているんだけども、色々相手の会社を調べ尽くして闇を暴き出した会議室のシーンには肝が冷えた。伊佐山が可哀想になるほど。電脳もフォックスも伊佐山も太洋証券も、ウソはダメ!ウソは良くない。顧客のためではなく自分のために仕事をする、こういう社会の膿をなんとかしたいと思ってるのが半沢であって、やはり正義は勝つ世の中であってほしい。半沢を気に入らない連中が左遷を目論むけれど、「やったことは自分に返ってくる」を地で行く展開にスッキリ。バブル世代もロスジェネ世代も関係なく、結局は人なんだなー。あー面白かった。次はどんなお仕事かな。