すべてが猫になる

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邪悪の家/Peril at End House  (ねこ4.5匹)

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名探偵ポアロが出会った美女ニックは、古びた邸の所有者であった。彼女は「三度も命を狙われた」ことを告白するが、まさにその最中、ポアロの目の前で彼女の帽子が撃ち抜かれた!ポアロは真相を探るべく邸に赴くが、手がかりはまったくつかめない。不安が支配する中、邸でパーティが催されることになるが…。(裏表紙引用)
 
ポアロシリーズの第6作目。
 
他社や映像では「エンドハウスの怪事件」として世に出ている作品なのでご注意。
個人的に、ポアロものでは5本の指に入るほどとても好きな作品である。なぜ今積極的に映像化されないのか不思議だ。ケネス・ブラナーでやるには地味かもしれないので三谷幸喜版に期待したい。
 
犯人を知った上で読むと、他作品に比べ犯人はわかりやすいのだなと感じた。明確なヒントが多い。ポアロが容疑者をAからJまで並べてリストにするところが特に好きで、この作品のポイントでもある。10人の容疑者が全員それなりに怪しそうな背景を持っているのよね。全てが解明されるところも気持ちいい。実は犯人にちょっと惹かれてしまう要素もあって、邪悪なものに惹かれる自分への背徳感?のようなものも楽しめるのかもしれない。ラストが芝居形式なのもドラマチック。中盤がテンポゆっくりな分、待ってましたとばかりに全てが白日のもとにさらされる快感。
 
でもちょっとこの事件のポアロは可哀想だったね。犯人に手玉に取られたというか。まあ、ポアロが自分を責めれば責めるほど自慢にしか聞こえない(ヘイスティングズ談)からいいけど。。