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エッジウェア卿の死/Lord Edgware Dies  (ねこ3.7匹)

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自宅で殺されたエッジウェア卿の妻は、美貌の舞台女優ジェーン・ウィルキンスンだった。彼女は夫との離婚を望んでおり、事件当夜屋敷で姿を目撃された有力な容疑者だった。しかし、その時刻に彼女はある晩餐会に出席し、鉄壁のアリバイがあった…数多の事件の中でももっとも手ごわい敵に立ち向かう名探偵ポアロ。(裏表紙引用)
 
ポアロシリーズの7作目。
 
ポアロシリーズでは珍しいことだが、全く内容を覚えていなかった作品。久しぶりに読み返してみて、なるほどこりゃ印象に残らなかったのも分かる。最近記事にしたあるポアロ作品に酷似しているのだ。某作品とは違いヒロインに特別魅力を感じなかったのは、登場頻度が低かったせいもあるだろう。そこはしょうがない。(似ているのには理由があるらしい。)
 
一見アリバイ崩しものだが、数々のミスリードが複雑に絡み合い、意外性のある犯人という狙いにははまっている作品かと思う。届かなかった手紙、被害者の鼻眼鏡、卿の苦悶の表情、謎の電話、ちぎられた手紙。ポアロが単純な事件を自ら複雑にしてしまった感もあるが(懲りないなあ…)、人間心理を読み解くことには長けている。証言というものはいかに自分の都合のいいように作られていくものか。犯人の頭の良さという点では某作品よりは上だと思われる。