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星籠の海  (ねこ4.2匹)

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島田荘司著。講談社文庫。

瀬戸内の小島に、死体が次々と流れ着く。奇怪な相談を受けた御手洗潔は石岡和己とともに現地へ赴き、事件の鍵は古から栄えた港町・鞆(とも)にあることを見抜く。その鞆では、運命の糸に操られるように、一見無関係の複数の事件が同時進行で発生していた――。伝説の名探偵が複雑に絡み合った難事件に挑む!(上巻裏表紙引用)
 
御手洗潔シリーズ第28弾。
 
今知った。しまった、27作目飛ばした。まあいいか。。
 
ロシア幽霊軍艦事件のすぐあとの事件らしい。今作は瀬戸内海を舞台にしていて、御手洗さんと石岡くんがあちこち飛び回る。興居島の小瀬戸湾に流れ着く六人の男性の死体。新興宗教がらみの覚せい剤、轢き逃げ事件。歩道橋から突き落とされた男性。村上水軍の秘密兵器。アメリカ神社で発見された口と目を縫われた夫婦と赤児誘拐殺人。などなど、最近の島田作品詰め込みすぎ。
 
特に面白かったのは俳優くずれの小坂井が地元の女優に呪われ、新カノの看護学生が起こしたある事件に巻き込まれる章。大雨の中呼び出されたと思ったら女が自分を刺して、テーブルに手を縛ってくれとか一体どういうことなの。元女優の場合は完全に逆恨みだし、看護学生に至っては看護学生のくせにどんだけ倫理観ないねん…と言いたくなる。普通、赤ちゃん片手に抱きながら脚立乗るかね?
 
そして大学教員の滝沢助教授ね。この人に言い寄る藤井という男も言い寄ったがために人生破滅するんだけども、オールドミスだの女は夫や子どもを持ちたいでしょとか発言が古臭くて苦笑。これもう2013年の作品だよね?あげく外でいきなりスカートの中に手を入れてプロポーズとか頭おかしい。はっきり拒絶しない助教授もわけわからんが。まあ、助教授にディープキス強要する御手洗さんもどうかと思うが(気になる人は作品をどうぞ)。
 
という感じで女性キャラはアイタタな感じなのだが、ストーリー展開は壮大だし謎だらけですごく面白かった。歴史ミステリ的な要素はいらないと思ったが(個人的好み)、よくこれを全部まとめたなと。教祖を追い詰めるシーンはまさに映画的だったし、看護学生のやったことをすぐ見抜いた御手洗さん神すぎる。。現場からヘリコプターで去るし(笑)。
 
長いけど面白くて一気に読めた。しかし御手洗さんと石岡くんが新婚用の部屋(ベッド一つ、装飾はピンク、ハート)に泊まるというくだりはファンサービスなのか?いらんぞ。