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パンダ探偵  (ねこ3.7匹)

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鳥飼否宇著。講談社タイガ

ヒトと呼ばれた種が地球上から姿を消して、二百年が経った。世界は知能を持つ動物たちの王国となり、肉食・草食の別なく、平和に暮らしていた。だが、そんな楽園に不穏な影が忍び寄る!姿の見えない誘拐犯、密室から消えた非常食、そして大統領暗殺!?不可解な謎に白黒つけたがるへっぽこパンダのナンナンは、先輩探偵タイゴと、ヘンな動物たちが巻き起こす珍&難事件に挑む!(裏表紙引用)
 
久々に鳥飼さん。表紙がかわいかったので。パンダ好きだし。
 
舞台はアフラシア共和国という、動物の自治共和国。感染病で人間は死に絶え、動物が社会を形成している世界。アニマ探偵事務所の名探偵・タイゴ(虎とライオンのダブル)とジャイアントパンダのナンナン(身寄りなし・夢は保育士)が動物界の難事件を解決する、三編収録の連作短編集。
 
「ツートーン誘拐事件」
牛やマレーバク、ナンナンなど、ツートーンの動物ばかりが誘拐され、入れ替わりに帰されるという不思議な事件が発生。動物同士の利害関係などなど勉強になるなあ。ミツオシエとか知らなかった。動物であるがゆえの誘拐理由にナットク。
 
「キマイラ盗難事件」
食糧保管庫から一トンの干し草がゴソっと盗まれた。タイゴは元警察官だったのかー。それにしても色々な知らない動物が出てくるなあ。読者には推理しようがないけど、ほおほおこんな動物が、と思わず検索してしまう。ナンナンは優しいな。
 
「アッパーランド暗殺事件」
アフラシアに大アメリカ帝国が攻め込んでくるという噂。そんな中大統領が顔をめちゃめちゃにして殺され、タイゴが逮捕されてしまった。ナンナン、慕うアニキのために孤軍奮闘!の巻。ナンナンにも色々な過去があったみたい。政治関係の話なのでちょっと硬い雰囲気だが、侵入した動物の正体やその方法にビックリ。トリックというより、それぞれの性質上そうなった、という感じ。動物界でもゲスいやつはゲスい。
 
以上。続編絶対あります的な終わり方がうれしい。タイゴもツンデレでなかなかいいし、転がってばかりのナンナンはもちろん可愛い。鳥飼さんらしさ全開だしね。