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最高の盗難 音楽ミステリー集  (ねこ3.8匹)

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深水黎一郎著。河出文庫

時価十数億のヴァイオリン、ストラディヴァリウスの銘器が若き天才ヴァイオリニストの凱旋コンサート会場から忽然と消えた!巨大な密室と化した超満員の音楽ホール。チャイコフスキーの名曲が明らかにした真犯人は?そしてあまりに芸術的な犯行手口とは?ハウダニットの驚異的傑作はじめ、ワーグナーの熱狂者たちが織り成す三部作、幻のデビュー作も収録の華麗な音楽ミステリー集。(裏表紙引用)
 
単行本「ストラディヴァリウスを上手に盗む方法」の改題。元のほうがタイトル良かった気がするけどなあ。芸術探偵・瞬一郎シリーズ。わーい。
 
ストラディヴァリウスを上手に盗む方法」
瞬一郎と同門のヴァイオリニスト武藤麻巳子の凱旋コンサートに招待された瞬一郎と海埜警部補は、武藤麻巳子が麻酔薬を打たれ名器を盗まれる事件に遭遇する。現場からは誰も出ていない状況で盗まれた楽器はどこへ行ったのか。
す、すごい方法で盗めるもんなんだな…。何億もするものにとてもそんなこと私にはできない…。動機もくだらないし。キレた瞬一郎カッコイイけど、犯行方法を褒めるのはどうかなあ。。
 
ワグネリアン三部作」
一 或るワグネリアンの恋
結婚において音楽の好みの一致が重要だと考える男が、クラシックに疎い彼女を「教育」する物語。こういう好みの押し付けほどうっとうしいものはないけど、相手側がいいならいいんじゃないかな。男の好みに髪型とか服装変える人っているもんね。しかし相手側のほうが一枚上手だった。
 
二 或るワグエンリエンヌの蹉跌
何事でも、オタクな人って職場や同じ趣味でない人間にはそういう面を出さない人が多いと思うんだけどそうではない女性のお話。人が聞いても分からないネタを日常会話に乱発するってもうどっかおかしいと思う。と思ってたらやはり就職面接でもそんな感じで、落とされまくって精神がおかしくなっていく女性が哀れ。オチでちょっとホっとしたけど、大丈夫か?この人雇って。まあ真面目に感想書く話でもないが。コミカルコミカル。これはコミカル。
 
三 或るワグネリアンの栄光
ワーグナーのカルトクイズ番組に出場した男の奮闘劇。一、二の登場人物総出演。結局何の話だったんだと思ったらオチでずっこけ。いや、いいけどさ。。
 
「レゾナンス」
瞬一郎関係ない。著者のデビュー作だそうで。ミステリでもないし、ヴァイオリンなどの音楽ネタがこれでもかと披露されていてちょっとぐったり。全く興味のない分野でもないが…。ヴァイオリンを習っているある高校生男子のひと冬の出来事。ミステリでないのは構わないけど、もう少し読ませるものだと良かったな。
 
以上。
うん、面白かった。ちょっと軽いけど深水さんらしい良い作品集だったんではないかな。