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双面獣事件  (ねこ3.8匹)

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二階堂黎人著。講談社文庫。

2つの顔と4本の手を持ち、目から殺人光線を出し、口からは毒ガスを吐く、途轍(とてつ)もなく醜い化け物が島民全員を虐殺した――。地図にも載っていない南海の孤島で第二次大戦末期に起きた凄惨な事件を語る女性の話は本当なのか? 旧日本軍の密命によって生み出された魔獣によって今再び悪夢が繰り返される!(上巻裏表紙引用)
 
二階堂蘭子シリーズ第9弾。
 
何年前に読んだか分からない前作の「魔術王事件」「悪魔のラビリンス」の内容を踏襲していたので、ところどころ「??」になるのは参った。殺人鬼ラビリンスが継続して出てくるのね。しかし今回はラビリンスよりも双面獣の恐怖に全部持って行かれた気がする。太平洋戦争とか色々関わってくるのだけど、九州は鹿児島の島々でものすごい怪物が暴れまわって村人を残虐に殺しまくるという。。さらに村人の犯罪やラビリンスの野望、マッド・サイエンティストのめちゃくちゃ怖い手術なんかが色々関わりあって、物凄く壮大な怪物ストーリーに仕上がっている。いやあ、読み物としてはかなり面白かったし満足。乱歩が好きなら間違いないという感じ。
 
でもしかし蘭子のキャラは今読んでもあまり好きではない。黎人を顎で使ってる感じも。。会う人会う人いちいち趣味とか体調とか当てなくていいよ。。意見を言う前にうんちくぶっ込んでくるのもまわりくどくてイライラするしなあ。で、今作、推理らしい推理はない。上巻で当事者たちの体験が全部語られているので、読者には全て分かっているんだよね。。それを蘭子らが後半で気づいていく感じ。一応ラビリンスの罠とか色々ハラハラするシーンもあるけれど、こっちとしては同じことの繰り返しだからキツかったな。だからこんなに長くなるんだ。でもまあ面白かったよ。