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大癋見警部の事件簿 リターンズ 大癋見vs.芸術探偵  (ねこ4匹)

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深水黎一郎著。光文社文庫

「警視庁最悪の警部」が帰ってきた! 本格ミステリーの“お約束"をことごとく踏み荒らしてきた大癋見警部の、今度の獲物は芸術の世界──名画、名筆、名曲をめぐる事件に、今度はあの「芸術探偵」も参戦。難事件をさらに難解にする混沌の世界に、もはや読者も悶絶!? ミステリーへの強すぎる愛と、芸術への深すぎる造詣が生み出す笑撃の作品に瞠目せよ!(裏表紙引用)
 
おーべしみシリーズ第2弾…ってことでいいのかな。
神泉寺瞬一郎との共演ってことでうれしいな。。と思ったけどあんま出てないな。
 
「盗まれた逸品の数々」
旧家の家に入った泥棒が盗んだ貴重な美術品4点。「田中老人」「鈴木少年」とは?王羲之の真筆の存在は?
瞬一郎が電話で大活躍。真相のほうは真面目なんだけど、おーべしみサイドの勘違いの仕方が脱力。。ずっこけまくる瞬一郎。ああイメージが。。
 
「指名手配は交ぜ書きで」
冒頭の当用漢字常用漢字騒ぎで思いっきり脱力させられたあと、馬券売場の看板の「伝助と博」に繋がっておおお。オヤジギャグくさいが。。
 
「大癋見警部殺害未遂事件」
殺害未遂でもなんでもない(笑)。館林刑事の落とした手帳に書かれていた「大癋見はコロス」の意味とは。。ははは。。。勘違いなのは最初に分かるとして、どんだけ変人やねん。
 
「ピーター・ブリューゲル 父子真贋殺人事件」
美術評論家が自宅で変死体で見つかった。残された鑑定覚書の謎となくなった油絵の行方は――。瞬一郎が臨場して大活躍。殺人事件の推理のほうは真面目に書いてるわりに実はたいしたことなくて、ピーター・ブリューゲルの薀蓄+謎のほうがメインで面白かった。脱力系のオチにしないと気がすまない(笑)。
 
第二部「とある音楽評論家の、註釈の多い死」
殺された音楽評論家についての捜査をしているおーべしみチームの章が上段にあって、下段に増渕という音楽評論家の註釈が。すげえ読みづらい。たまに砂嵐みたいな何もないページあるけど意図はなんだい?「褒めているように見せかける表現集」「アラ探し集大成」などなど、笑かす気満々。それだけでも楽しめたのだけど、ラストでどんでん返しが。一番あほらしいけど一番これが好きかも。まあ、評論家の仕事ってこういう側面もありそうだ。
 
以上。
それじゃダメなんだろうけど、このシリーズ一番好きかもしれない笑。芸術の薀蓄は本物だし。おーべしみのギャグに付いていけるかどうかが評価の分かれ目かな。瞬一郎が絡んできたのは嬉しいんだけど、脱力系のシリーズに正統派の自分が出ていいのかとかメタ要素がすでに脱力系。。