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ご用命とあらば、ゆりかごから墓場まで 万両百貨店外商部奇譚 (ねこ3.8匹)

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真梨幸子著。幻冬舎文庫

ここは万両百貨店外商部。お客様のご用命とあらば、何でも(殺人以外)承るのが外商の仕事。今日も「激レア犬を飼いたい」「娘を就職させて」「愛人と妻が鉢合わせしないマンションを」と無理難題が舞い込んでくる。ある日、 顧客の物件探し中の根津は、無理心中した家族の噂を耳にするが、事件の陰に何故かトップ外商・大塚佐恵子が――。お仕事イヤミス!(裏表紙引用)
 
真梨さんの文庫新刊。
 
百貨店の外商部というのは、芸能人や富裕層の家へ百貨店の人が商品を持って販売する部署とのこと。商品の販売だけに留まらず、悩み相談までするらしい。その関係は一生モノ――「ゆりかごから墓場まで」だという。ふえー。すごい世界だ。
 
色々なパターンの依頼があるが、全てのお話にトップセールスウーマン大塚佐恵子が登場。乙女歌劇団員のパトロンを探したり、上得意の娘を正体を隠して菓子売り場に勤めさせたり、落ち目のタレントの悪評の情報源を突き止めたり。お仕事の範疇を超えているものも多くて、それでも反社会的行為以外はなんでもします!って感じ。なんかもう今後の売上は見込めそうもないお客の無理難題を聞く話もあって、それでも誠心誠意応対してたら最後に…ってのもある。基本的には「破滅する人」を描いているあたり、後半は真梨さんらしいブラックな展開が多い。それだけに最終作にはビックリ。いや、そこまでやっちゃダメだろ。。。
 
主人公がコロコロ変わるリレー小説の体裁なので、まとまりはあまりないかも。ブラック外商の女性とかいいキャラしてたのに出てこないし。大塚さんと新人の森本さん視点に徹したほうが良かったかも?でもいつもの真梨作品ほどややこしくはないかなー。「イヤミス」ってほどでもないし。外商のお仕事をめぐる人間関係のゴタゴタや依頼をめぐるトラブルを解決していくミステリという感じ。こういう仕事もあるのだなってことで、興味があればかなり楽しめると思う。
 
それにしても、百貨店の売り子のことを全員「マネキン」っていうの違和感があった。バブル時代のブティック店員のイメージ。ファッションブランドならわかるけど、菓子売り場や惣菜売り場、催し物会場の人のことまでマネキンって呼ぶかなあ?(百貨店勤務経験者)いや、地域によるんだったらすいません。