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龍臥亭幻想  (ねこ4匹)

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島田荘司著。光文社文庫

石岡和己、犬坊里美、そして加納通子―。雪に閉ざされた龍臥亭に、八年前のあの事件の関係者が、再び集まった。雪中から発見された行き倒れの死体と、衆人環視の神社から、神隠しのように消えた巫女の謎!貝繁村に伝わる「森孝魔王」の伝説との不思議な符合は、何を意味するのか?幻想の「龍臥亭事件」が、いま、その幕を開ける。(上巻裏表紙引用)
 
御手洗潔シリーズ第20弾。
 
石岡くん、里美ちゃん、通子さん、吉敷さん、御手洗さん(電話出演)が出る超豪華作品。「龍臥亭事件」の続編、あれから8年後の物語ということで。
 
再びあのメンバーが龍臥亭に集結。しかしそこでまた事件が。巫子をしていた女性が行方不明になったというのだ。さらに大雪の中行き倒れとなったホームレス、発見された、セメントづけの駐車場の割れ目にあった行方不明女性の遺体。この村に伝わる「森孝伝説」と交わって、事件はどんどん複雑怪奇な様相を呈していく……。
 
挿入されている「森孝伝説」や元医学生の男の戦時中の手記など、それぞれの物語が熱く面白い。どの時代にも、権力を笠に着た極悪非道な人物が現れ、それが鎧を着た「森孝」の亡霊に惨殺されるという不可思議で恐ろしい物語。トリック自体はあまりにも大風呂敷すぎて論理的に畳みきれなかった感。ファンタジーの領域に足突っ込んでる印象が。しかしバラバラ遺体を鎧に入れるなどストーリーに力がありすぎるため、それだけで満足できる内容。悪人があまりにも悪人すぎて読んでいて腸煮えくり返るので楽しい読み物とは言い難いが…。
 
吉敷さんと御手洗さんが同じ疑問を抱き、同じ結論に達したのが嬉しい。もっと吉敷さんが活躍して欲しかったが…。最後手記解決だし。