森博嗣著。中公文庫。
生も死もない。己も敵もない―「都」を目指す途上、立ち寄った村で護衛を乞われたゼン。庄屋の屋敷に伝わる「秘宝」を盗賊から守ってほしいのだという。気乗りせず、一度は断る彼だったが…。この上なく純粋な剣士が刀を抜くとき、その先にあるものは?（裏表紙引用）
剣士ゼンを主人公としたヴォイド・シェイパシリーズ第２弾。
うん、やはりこのシリーズ面白い。カシュウの死後、旅を続けるゼンが立ち寄ったある村。ゼンが出会ったハヤという女性が暮らす庄屋には、不老不死と言われる竹の石がある。その秘宝をゼンに守って欲しいと言われたゼンだが…。
今回は前作ほど様々な人々には会わず、ひたすら秘宝を狙う盗賊VSゼンの戦い。前回出た三味線のノギさんも出るね。そしてやはりハヤに惚れられるゼンであった。純粋だけど芯が通っていていい男だもんねえ。強いし。さぞや見た目もいいのでしょうな。森作品らしく、哲学的要素もあり。己を信じた者の遅れと己を疑った者の勢い。なるほどなあ。竹の石を信じるも、神を信じるも、剣を信じることと同じなのかもしれない。人間の弱さや神秘をまたしても学んだゼンであった。さて自作ではどうなるかな。
