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アリス・ザ・ワンダーキラー 少女探偵殺人事件  (ねこ4匹)

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早坂吝著。光文社文庫

十歳の誕生日を迎えたアリスは、父親から「極上の謎」をプレゼントされた。それは、ウサ耳形ヘッドギア“ホワイトラビット”を着けて、『不思議の国のアリス』の仮想空間で謎を解くこと。待ち受けるのは五つの問い、制限時間は二十四時間。父親のような名探偵になりたいアリスは、コーモラント・イーグレットという青年に導かれ、このゲームに挑むのだが―。(裏表紙引用)
 
早坂さんの文庫新刊。「不思議の国のアリス」を下敷きにした、10歳の少女探偵の卵をヒロインにしたちょっと風変わりなミステリー。探偵でもある父親からの誕生日プレゼントとしてヴァーチャル空間で謎解きが出来るウサ耳形ヘッドギアをもらったアリス。早速ヴァーチャル世界へ飛び込んだアリスを待ち受けていたのは、白ウサギをゲームマスターとした「5つの問題」だった。アリスは無事謎を解明し、名探偵になれるのか。
 
体が大きくなるクッキーと小さくなるシロップを使って部屋を脱出出来るか?死産を経験した公爵夫人が我が子と思い込むブタの赤ん坊の誘拐事件を解決出来るか?隠し部屋で開かれたお茶会で惨殺された帽子屋が残したダイイングメッセージの真相は?などなど、不思議の国のアリスファンならよだれものの事件が次々とアリスに提示される。どれも水準程度に面白く楽しめるが、アリスネタが分からないと楽しみは半減するかも。まあしかし、早坂さんならこのぐらいは…という程度かなあと思って読んでいた。ヒロインのアリスが生意気であまり好きではなかったし。しかし後半で怒涛の大回収。かなりムリのあるところもあるにはあるが、度肝を抜かれるには十分。そもそも伏線だって、それぞれの事件でしか機能しないと思っていたからやられた感でいっぱい。強引でファンタジックだけど早坂ワールドを堪能できた。満足。