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巴里マカロンの謎  (ねこ4匹)

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米澤穂信著。創元推理文庫

「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店に行ってマカロンを食べます」その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか?小鳩君は早速思考を巡らし始める…心穏やかで無害で易きに流れる小市民を目指す、あのふたりが帰ってきました!(裏表紙引用)
 
11年ぶりに出た小市民シリーズ新刊。「〇期限定~」が付いておらず、時代設定も小山内さん&小鳩くんが高校一年生の時のお話ということで、外伝的な作品なのかもしれない。
 
「巴里マカロンの謎」
有名パティシエの限定マカロンを食べたいがために小鳩くんを連れて名古屋へやって来た小山内さん。しかし小山内さんが席を外し、小鳩くんが目を離した隙に、小山内さんの注文したマカロンが一つ増えていて…。動機と犯人の見当の付け方は相変わらずうまいな。スイーツまみれの世界観にちょっと冷たい視点が入っている「らしい」作品。
 
「紐育チーズケーキの謎」
カロン事件で知り合った古城さんの中学の文化祭へ赴く2人。ボンファイアーの前にいた小山内さんにぶつかってきた男子生徒と暴力的な上級生の諍い。そして消えたCDはどこへ。古城さんあまり好きじゃないなあ。誰かに極端に依存する人って生理的にちょっと。咄嗟にこれを思いついて実行した小山内さんの悪魔的賢さ…震えるわ。まあこれは現代なら普通にネットに出るのが当たり前なのでそれほど小山内さんがヒドいとは思わないな。
 
「伯林あげぱんの謎」
「あげぱん」表記が米澤さんらしい。これが圧倒的に完成度も高く面白かった。小山内さんはあまり出ないのだけど、いい味出してる。。人間関係の心理にくい込む推理は好きだな。
 
「花府シュークリームの謎」
(これホントにフィレンツェって読むの?変換候補に出てこないしこの表記見たことないのだけど。。)
また登場の古城さん。行ってないパーティーに行ったと誤解され、停学になってしまったらしい。これはかわいそう。なんだかんだ助けてあげる小山内さん優しい。ここまでするかな、っていう犯人像だったけどもまあいいか。明るい終わり方で良かった。
 
以上。
ファンタジーすれすれというか、普通なら「いや店員呼べよ」「いや助けに行けよ」など突っ込みたいところだけどこのシリーズだとそれ言うの野暮、みたいな。真相や推理の面白さよりも、そもそもの文章や話の展開が面白くてすごく引き付けるので、米澤作品はやはり普通じゃないなと。スイーツとシビアな視点が融合しているところもこのシリーズが流行る所以だと思う。