すべてが猫になる

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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー  (ねこ4.2匹)

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ブレイディみかこ著。新潮社。

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大人の凝り固まった常識を、 子どもたちは軽く飛び越えていく。 世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、 落涙必至の等身大ノンフィクション。 優等生の「ぼく」が通い始めたのは、人種も貧富もごちゃまぜの イカした「元・底辺中学校」だった。 ただでさえ思春期ってやつなのに、毎日が事件の連続だ。 人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。 時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。 世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子と パンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。 連載中から熱狂的な感想が飛び交った、私的で普遍的な「親子の成長物語」。(紹介文引用)
 
イギリス在住のライターさんが描くノンフィクション。アイルランド人と結婚した福岡出身の日本人ということで翻訳ものではないのだが海外もののくくり。かなり話題になっている本のようなので本屋に見に行ったら熱いポップと共に山積みされていた。
 
体裁は、中学生の息子を持つ母親が彼の学校生活、日常を通し感じたことを綴るというもので読みやすいエッセイスタイル。EU離脱や緊縮財政の影響を描きながら、多様化する英国(多人種混在国家、LGBTQ、格差など)の実情を1人の女性の視点で暴き出す。ヘイト発言、フォビア(LGBTなどへの嫌悪感情)、そもそもの衣食住の確保。子どもは大人の影響をダイレクトに受けるという現実に打ちのめされる。哀れみ共感する感情は万人に身に付いたものでも、他人の立場に立つことが出来るかは「個々の能力」なのだ。純日本人には想像もつかないアイデンティティの揺らぎ。それでも子どもたちは自分たちで考え、たくましく成長していく。
 
ここに描かれる英国の子どもたちの実態を読むと、私たちが主張する「多様性」がいかに貧弱であるかということが分かる。いやもう、この本を全人類が読むとこの世のあらゆる差別はなくなるんじゃないかとさえも。自分は違う、と思う人こそこの本を読んでみて欲しい。