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QED 龍馬暗殺  (ねこ3.8匹)

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高田崇史著。講談社文庫。

高知の山深く、平家の落人伝説が残る蝶ヶ谷村。土砂崩れで密室と化した村の一夜に起こる殺人と自殺。大学の後輩全家美鳥を訪ねてきた桑原崇と奈々たちも事件に巻き込まれるが、その最中、維新の英雄・坂本龍馬暗殺の黒幕を明かす手紙の存在を知る。因習に満ちた山村と幕末の京都を結ぶ謎に挑む崇の推理は―。(裏表紙引用)
 
QEDシリーズ第7弾。
 
幕末かぃ。ついに全く興味のないテーマの巻に来てしまった。が、薀蓄8割事件2割のこのシリーズ、2割の面白さで読めちゃうのである。蘊蓄も一応読むが、タタルの結論が合ってる間違ってるとかではなく歴史オタクどもの饗宴をハタから眺めて楽しむものなのでササっと流す。ここで奈々ちゃんの妹沙織ちゃん登場。これが龍馬オタクの歴女ってのが面白いよね。しっかりものの奈々ちゃんと天然の沙織との対比が笑える。現実だと歴史薀蓄をひけらかす人うっとうしいだろうな…ははは…。
 
なんかもういよいよテーマと事件が無関係になってきて、そのくせ濃度は濃いので読後の印象は事件より龍馬になってしまうが。閉鎖的な村に隠された因習とか、常人には理解できない動機とか、10人程度の村の人間関係のクドさに結構ぐったり疲れてしまった。イマドキ若者がこんなんなるかね。まあ邪魔者扱いされながらもひょうひょうと薀蓄と推理をぶちかます相変わらずのタタルにホっとしつつ、突然現れた小松崎の役立ちっぷりに見直しつつ、イマイチ態度のハッキリしないタタルに悶々とする奈々ちゃんに同情しつつ、面白く読めたのでありました。