すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

大癋見警部の事件簿  (ねこ3.9匹)

f:id:yukiaya1031jp:20191215205843j:plain

深水黎一郎著。光文社文庫

この男、警視庁捜査一課の係長なのに、事件を解決する気、まったくなし!思いつきで部下をこき使い、暴言と居眠り三昧。それでいてなぜか検挙率100%の大癋見(おおべしみ)警部。下ネタ大好き、ブルドッグのような容姿の「警視庁最悪の警部」が、“本格ミステリーのお約束”を薙ぎ倒し、踏み躙りながら難事件を次々解決!?著者のミステリーへの愛と造詣に満ち溢れた抱腹絶倒の連作集!(裏表紙引用)
 
おおべしみ(変換めんどくさい)警部を主役にした、完全なるおおべしみのおおべしみによるおおべしみのためのシリーズ。真面目に読んだらバカを見る徹底的バカ短篇集。
 
ほとんどの作品が「ノックスの十戒」を下敷きにしていて、いや、バカにしていて本格ミステリファンの心くすぐる。オヤジギャグやダジャレがほとんどだし、おおべしみやる気ないし、やたら寝ている。。挿入されるおおべしみマンガもあほすぎて脱力。みんなおおべしみに任せていたら大変なことになるから自白するのではないだろうか、同感。共演中の海埜もいい味出してるよねえ。瞬一郎がこのシリーズには出ないことにしているというのがメタすぎて笑える。
 
バカ一辺倒なのでなかなか気づけないけど、名前のない容疑者とか意味のない叙述トリックとか、ピックアップされたネタのいじり方など、深水さんの持つセンスは相当なもの。真面目に描けばちゃんとした作品になったのでは、と思える作品もいくつかあった。おおべしみが温泉に4回入るのが読者サービスだというくだりには殺意をおぼえたが。。
 
それにしても、これが雑誌掲載だったとはなあ。。当時の読者のメンタルが心配。