すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

葡萄園の骨/Dying on the Vine  (ねこ3.8匹)

f:id:yukiaya1031jp:20191002130836j:plain

アーロン・エルキンズ著。嵯峨静江訳。ハヤカワ文庫。

どこへ行こうと、スケルトン探偵ことギデオン・オリヴァーを迎えるのは骨なのか。イタリア・トスカーナ地方の山中で発見された、二体の白骨死体。一年ほど前に失踪していた葡萄園経営者夫妻のものだ。状況から見て、不倫を疑った夫が妻を射殺してから自殺したものと警察は考える。だがたまたま夫妻と知り合いでもあったギデオンが白骨の鑑定をしたことから意外な事実が次々と明るみに!謎が謎を呼ぶ人気シリーズ最新作。(裏表紙引用)
 
ケルトン探偵シリーズ邦訳第16弾。
 
今回のギデオン&ジュリーはイタリアへ。土地が土地だけに、いつも以上に食べるシーンが多いな。でもイタリア料理があまり好きじゃなさそうなギデオンが微笑ましい。
 
葡萄園経営者夫妻が崖の下で白骨死体となって発見された。夫には前妻との間に三人の息子が、妻には殺された前夫との間に一人の息子がいた。夫は葡萄園を売却しようとしていたらしい。警察の調べで、夫が妻を射殺しその後自殺したということで落ち着いたが、ギデオンの調査で意外な事実が判明する。妻は崖から落ちた後に撃たれ、その後夫はまた崖の上から自分を撃ち落下したのか?
 
ギデオンの骨調査が光る。夫妻が落ちた順番がおかしい、妻の上半身の骨が綺麗な訳は?レザージャケットの中の銃はなぜ無事だった?など、当初の見解とは異なる事実が次々と判明。警察側(憲兵と言うのかな)のロッコがギデオンの確定的でない言い方や数値で証明できないことに対してイライラしているのが笑える。骨だけでこんなに色んなことが分かるってやっぱりすごいな。葡萄園一家のしがらみや騒動も面白いな。はみ出し者のチェザーレの存在がかなり話を混乱させてる。動機はもう明らかなので、あとはもう「この中の誰が」なんだよね。推理したのはジュリー、解決したのはロッコだけど(笑)、まあギデオンかなり鑑定がんばったからこれはこれでいいかな。タイトル的にもうネタ切れなのかと思っていたけど、シリーズ中でもかなり好きな作品になった。
 
ところで、もう新刊は出ないのだろうか。ウィキによるともう1作あるようだが邦訳されるかなあ。完走した充実感があまりない。