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QED 式の密室  (ねこ3.8匹)

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高田崇史著。講談社文庫。

陰陽師の末裔」弓削家の当主、清隆が密室で変死体となって発見された。事件は自殺として処理されたが、三十年を経て、孫の弓削和哉は「目に見えない式神による殺人」説を主張する。彼の相談を受けた桑原崇は事件を解決に導くと同時に「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体を解き明かす。好調第5弾。(裏表紙引用)
 
QEDシリーズ第5弾。うん、面白い!これだけ随分薄いけど(220ページ)、番外編みたいな扱いなのかな?タタルの大学時代の事件を解き明かす話だし。
 
奈々ちゃんとタタルと小松崎(いつも思うけどこの人お邪魔虫じゃね?)で新年会。前回で引っ張った「通りゃんせ」の唄の意味をいきなり教えてくれるという嬉しい展開。奈々ちゃん、普通にタタルのこと「ちょっと引かれる」ゆうてる。。
 
そしてタタルが大学時代に新入生の弓削に聞かされた密室殺人の話にもつれ込むわけだけど。シンプルながら物理的に絶対不可能な密室殺人も、それならば真相はやはり人的要因なのだなと。「式神は存在する」と断言するタタルにビックリしたけど、もっとビックリしたのは式神の正体。もともとタタルの薀蓄に伏線はあったのよね。貴族と差別って切り離せないものなのか、いつの時代も人間は愚かなのか。密室事件にあった「穢れは見えない」が蘊蓄と深く結びついて感銘。
 
安倍晴明菅原道真の人となりは判明しないままだけど、推理後にタタルが語った「神より鬼のほうが位が高いわけ」に注目。当て字の面白さが際立つね。下劣な発想のものが多くてウンザリするけど。次回に多分引っ張ってるんであろう「松竹梅」の悪い意味も知りたいな。(次回に新しい謎を引っ張るスタイルなのね、このシリーズは)