すべてが猫になる

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不眠症/Insomnia  (ねこ3.7匹)

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スティーヴン・キング著。柴山幹郎訳。文春文庫。

70歳の老人、ラルフの睡眠時間は日に日に短くなり、ついに幻覚を見るようになる。自分は狂いはじめているのか?孤独に「チビでハゲの医者」が放つ悪意に怯える日々を過ごすラルフ。一方、妊娠中絶支持派の女性活動家の講演が近づき、穏やかな町・デリーは憎悪と反目に染められていく―人知を超えた邪悪な存在が迫りくる。(上巻裏表紙引用)
 
なげーよ。。。
 
と、いうわけで割と存在感の薄いキングの大長編を読了。この作品の舞台となるデリーは「IT」のデリーである。しかし関連があるのはどちらかというと「ダーク・タワー」。キングの作品は全てひっくるめると「ダーク・タワー」へ繋がっていくものが多いので、1巻だけでもいいから「ダーク・タワー」ぐらいは読んでおいたほうがいいかも。無視できないくらい関連要素出てくるので同時期に読んでいる自分勝ち組。
 
ちょっとタイトルで損してる作品かな。「痩せゆく男」みたいな、不眠症の男が狂っていく話かと想像していたら全然違った。70歳の老人ラルフは最愛の妻を亡くして以来不眠症に苦しんでいる日々。やがて近所に住む善良で優しい男エドが交通事故を起こし、妻にDVを加える凶暴で異常な性格に変貌。街では妊娠中絶派と反対派の抗争が絶えない。そしてデリーに現れた邪悪な三人の医者たちが住民の生死を操作し始め――。上巻はこんな感じでなかなかのスリルだったが、下巻から老人版スーパーマンとなったラルフと新恋人のロイスが人々の寿命が見えたり考えていることが分かったり指から光線が出せたり空を飛べたりとファンタジー感つよい。。最後はもうトップガン。映像化したらさぞ楽しそうだが…。ショートタイマー、とか過剰現実(ハイパー・リアリティ)とか色々面白い言葉が出てくるし。恋愛や若返りもテーマの一つだし、冗長は冗長だけど読みどころは多いかな。ラスト、まだ終わらんのかい!って感じで後日談が感動的なのも良きかな。