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グランドマンション  (ねこ3.8匹)

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折原一著。光文社文庫

「グランドマンション一番館」には、元「名ばかり管理職」の男、元公務員、三世代同居の女所帯から独居老人、謎の若者、はてはかなり変わった管理人までと、アクの強い人たちが住んでいる。騒音問題、ストーカー、詐欺、空き巣―次々に住人が引き起こすトラブル。そして、最後に待ち受けていた大どんでん返しとは…。希代の名手が贈る必読の傑作ミステリー連作集。(裏表紙引用)
20.9.15投稿。
 
折原さんの倒叙系で連作短篇集って珍しいな。。ていうか、この体裁折原さんに案外合っているんじゃないかと思う。一つ一つの話が独立しているので、いつもの「章ごとに視点が変わる(しかも誰だか分からない)」作風よりも混乱しないのが良かったんだと思う。
 
本作は、グランドマンション一番館(賃貸)の前に二番館(分譲)が建つことになり、残された一番館の住人1人1人にスポットをあてていく構成。それにしてもまあ、やる気のない管理人を筆頭にクセのある関わりたくないようなキャラクターばかりで。。リアリティまったくないんだけど、登場人物がおかしな思考、おかしな行動をするからこそ広がる作風なわけで。ほんとに現実的じゃないツッコミどころも多々あったけど。。普通こんな連中審査通らないだろ、とか老人と若者がくっついたりするなど。。浮気男と結婚しようとするあほ女が2人も出てくるあたり辟易したし。
 
で、それぞれおかしな出来事や事件が起きて、それぞれ意外な結末、事実を見せる。そして最後の最後にさらにこういう大仕掛け(騙し)がありました、という。結構まとまっていたし伏線も張っていたので、久々いい折原作品を読んだ気分。まあ、出てくる人間の不快感だけはハンパないけど。