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遭難者  (ねこ3.7匹)

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折原一著。文春文庫。

残雪の北アルプスで、若手会社員・笹村雪彦は所属する山岳サークルの登山行で足を踏み外し、滑落死を遂げた。だが山を愛した彼に捧げた追悼集は、死因に疑いをもった母親の行動によって、予想外な内容に…。登山届、現地地図、死体検案書など詳細な記録を収録した2分冊の追悼集に込められた謎とは何か?(裏表紙引用)
 
20.7.27投稿。
 
久しぶりの折原さん。
 
こういうのも叙述ミステリっていうんだよね?今作は、山で遭難しやがて遺体が発見された青年の追悼集という体裁のミステリ。単行本だともっとちゃんと追悼集ふうに装丁されているらしい。目次もあって、挨拶もあって、僧侶?の読経??の文面まである。死亡届や死体検案書や地図やハガキや色んなものが掲載されていて、かなりリアル。
遺族となった母親・時子が、息子が想いを寄せていた「N子」、N子と婚約してしまった「S」は誰かを探り、息子の死の本当の真相を暴いていくうちに…という物語。その謎そのものも面白いのだけど、途中からひとひねりあってまた…うーん、これは何も書けない。追悼集自体にもまた仕掛けがあったという感じ。最後のB級ラブにはビックリさせられたものの、相変わらず凝っていて楽しめた。
 
折原作品にしては、ややこしくなくて読みやすかった。これぐらいがちょうどいいなあ。。