辻村深月著。第31回受賞作。
ある雪の日、学校に閉じ込められた8人の高校生。
時間の止まった空間。姿を見せない教師。
発見した集合写真の不可解な点。2カ月前に校舎から飛び降りたのはこの中の誰?
うわあ面白かったです。
長いのでだれる、という評価も聞きますが、ハラハラはするものの
スピード感のある壮大なお話ではないので安定していて良いのではないかしら。
ホラーっぽい設定も、妖怪やはらわたものではないので余計ぞくぞくするというか。
綺麗なホラーというんでしょうか。
謎提示もしっかりあるし、伏線も張りまくりなのでミステリとしても評価に値しますね。
普通にびっくりしましたし。でも、ストーリーを楽しんだのでくやしさがない。爽快な
騙され方をしました。
登場人物の一人一人にスポットがあてられ、それぞれの濃いエピソードも楽しめます。
高校生ならではの青い悩みや、自我が完全に形成されない年代の苦悩が見事に描かれていて
入り込みやすかったですね。自分と重ね合わせるような具体的なものはないのですが、
「学校と家」しか居場所がなく、逃げ場がない未成年にとってはどの人物の背負ったものも
立派な「荷物」でしょう。社会に出ればなんと小さな事で苦しんでいたかと
笑い話になってくれればいいなと感じます。
(「小さい」と言えない人物も確かにいましたけどね)
ラストは想像通りだったものの、これはこう持ってくるべきだと思ったほど
感動的なクライマックスでした。
どんでん返しや驚愕の結末であればいいってわけでもないな、と。
女性におすすめ。