すべてが猫になる

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闇匣 (ねこ3.5匹)

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講談社ノベルス


講談社が出してる密室シリーズの一つでございますね。
「密室ポン」とかいう^^;。このシリーズは袋とじになっているのですよ。

関口が目覚めると、そこは暗闇だった。四肢が椅子に縛られ、身動きができない。
隣では恋人の安奈も同じ目に遭っているらしい。
犯人は関口の友人。事故で死んだ関口の妹の事件について、口を割れと
尋問する。
妹の死、元恋人の死。真相を知っているのは誰?


密室ものといいましても、これはいわゆる部屋に死体があってうんぬん、という
趣きのものではありません。
ノローグや過去のエピソードは物語の半数を占めますが、実際は暗闇の部屋の中、
という状況は終始変わらずです。
詳しく説明しますと、最近遊園地などでよくある4Dみたいなものをイメージして
下さい。ホラー仕立ての映像と共に、サングラスなどをお客さんがはめてヘッドホンとか
つけたりして臨場感あるボイスや映像を楽しむやつです。
あんなイメージの中に主人公は陥っているわけですね。声だけがリアルに聴こえるという。
犯人はわかっていても、姿は見えないのでみょ~にこわいのですよ。

そしてくろけんの素晴らしい情景描写が炸裂。
リアルすぎます。なんだか読んでいるだけで、自分の耳元で誰かが囁いてるみたいな
気になります。
くろけんの小説にサングラスは必要ありませんね。





えーと、読んだ人にしかわからない話をしますが、(ネタバレするかも!注意)
くろけんにしては読後感がよろしくありませんね。。。
一応、関口の身になってストーリーを追ってしまうので。。
自業自得ではありますが、可哀想になってしまいましたよ。
叙述でも倒叙でもないのでなんだかなあ。あ、いや、かと言って
主人公に感情移入したとか、萌えたとか、惚れたとか、好きだとか、
そういうわけでもないんですが。

てゆうか、全員人のこと言えんのかって思っちゃったんですが。。だからでしょうか。
正しい人間がいなかった。

つまりは、この結末にせいせいした、とは言えない。。。