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透明人間 (ねこ4.3匹)

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講談社ノベルス


自殺未遂癖のある理美と、恋人飯島の物語。
幼き日に、理美は自宅前で透明人間を目撃する。母はなく、父も理美の目の前で
謎の死を遂げた。
理美の自宅の地下に、秘められた研究所。父の死の真相はこの中にあるのか?
そして集まった胡散臭い人々と、理美、飯島は、地下で連続密室殺人に遭遇。
犯人は透明人間!?


安藤直樹シリーズです。といっても、本作の主人公はあくまで理美ですし、
当の安藤君は推理で活躍するもののほとんど登場しません。
てゆうかそんな能書きはもういいのです。
皆様、これ読んで下さい。この胡散臭いあらすじは読まなかったことにして、
どうかお手に取ってレジへ。面白いからというより、(他に何がある^^;)
この感動をぜひ共有したいです。シリーズを追っていなくても単独で楽しめる内容です。
さあ買った買った。(こらこら)


この作品は一応本格ミステリですが、主人公の理美の人格に少し問題があり、
彼女のおかれた境遇の苦悩と、孤独への葛藤に重点をおかれたストーリーになっています。
これは極端な例ですが、多少なりとも自身と重ね合わせる部分はあるのではないでしょうか。


人は、誰しも自分を支えてくれている相手がいるもの。それに気付けるかどうかが
人生を歩む上での分かれ道かもしれません。
理美には荒療治だったかもしれませんが。

極端と言えば、透明人間というのが既に異世界ですよね。
いるわけがない。
だからこそ、著者の狙いが明確に浮き出る。これはその良い例です。

そして、この物語のクライマックスにさしかかった頃、
誰しもが透明人間の存在を信じて疑わないことでしょう。