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ガラス張りの誘拐 (ねこ2.8匹)

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講談社文庫。


佐原刑事は、持病を持っていた。病名は、「優しさ」ーーー。
佐原刑事が扱う目下の大事件「連続婦女殺人魔」。犯人からとおぼしき犯行声明文。
誘拐された少女が発見され、犯人とみなされていた人物が死んだ。
声明文は本物だったのか?
そして、後に佐原の娘、深雪が誘拐される。犯人は狡猾で、要求も「現金で一億円を
用意しろ」という突飛なものだった。


三つの章で構成された誘拐ミステリです。中篇が3つ、ということらしいのですが
まあ自分は繋げて読みました。これぐらいなら混乱はしないでしょう。

読み易いというだけで、本作も自分は感銘は受けませんでした。しくしく。
この構成もまた歌野氏の試みなのかわかりませんが、失敗してるような。。。。
ここまでそれぞれを独立させてしまうと、物語の終結に入り込みにくいんですよね。
論理としては見事におさまるのですが、ストーリーとしてはどうもなじめない。

犯人の動機が理解不能でした。動機に説得力があって初めてあのラストシーンが
生きるのでは。


しかし、佐原の父親としての苦悩はよく描けていましたね。
真摯さが伝わって来ます。きっと深雪も胸に来るものがあったことでしょう。

でも、もう仕事中にサウナ行ったりしないでね。