すべてが猫になる

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眠りの牢獄 (ねこ3.8匹)

講談社ノベルス


浦賀和宏殺人事件」をすでに先日読了してしまった自分には、これが
シリーズものなのか単独ものなのかわからなくなってしまいました。。。
詳しくは書けないのですいません。

はっきりしているのは、「安藤直樹シリーズ」ではない、ということだけです。



階段から落下した浦賀と亜矢子。浦賀は軽傷、しかし亜矢子は昏睡状態となってしまう。
二人は何者かに突き落とされたのか?
年月が過ぎ、亜矢子の近親者に呼び出された当時の関係者達は、核シェルターに
閉じ込められてしまう。「亜矢子を突き落とした人間は、告白しろ」という条件で。。
一方、外の世界ではインターネットによる完全犯罪が進行しーーー。



はっきり言いまして、アンフェアぎりぎりのトリックです。
なぜ、「ぎりぎり」つまりセーフのような書き方をするかと言いますと、
背表紙や帯の売り文句のあの記述はおそらく著者の責任ではないからです。
意見割れするでしょうが、自分はそういうことでフェアだという観点から
記事にします。
伏線もたくさんありましたし、読者に地の文で嘘をついてはいけない、という
基本的ルールから逸脱してはいません。

以前、同じようなひっかけをした同じ真相のミステリを読みましたが、
その作品ではアンフェアだと思ったはずの自分が、なぜ本作では素直に
フェアだと思えるのか?説明はつかなくとも、自分がこの世界を受け入れ、
惹き込まれていることで納得ができます。それならもう自分にとっては
フェアだということなんです。
もし、これで浦賀氏に初めて出会っていたら間違いなく壁行きだったでしょう。


シリーズを追って理解できるものではなく、著者の全作品を読んでやっと
氏の世界を咀嚼できる。全ての作品が、全ての作品の伏線だというなら、
もうハマるしかないのですね。