すべてが猫になる

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ダレカガナカニイル… (ねこ2.6匹)

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井上夢人著。講談社文庫。


主人公の西岡は、警備保障会社に勤めていた。ある新興宗教団体を、悪意を持ち
追い出そうとする村人達から警備するため、現場へ向かう。
そこで発生した謎の火事。西岡は、そこで突然昏倒するという不思議な現象に遭う。
それ以来、頭の中から他人の女性の声が聞こえ始めるようになる。
頭の中に棲む女性は誰か?教祖を殺害したのは誰か?



岡嶋二人から井上夢人名義となって初の長編だそうです。

自分は、著者の作品はこれで3作目。「メドゥサ、鏡をごらん」で目が点になり、
「プラスティック」でその世界観に惹き込まれかけたものの脳みそが蕩け、
それでも何らかの魅力を感じているのかいないのか手をつけてみた次第で。
こういうのも、SFミステリの範疇に入るのですね。(ど真ん中??)
西澤氏のようなエスパー設定をあえて課した上での本格推理、というのとは
全く違いますが。。。


本作はわりと入り易いのではないでしょうか。不思議度が薄い、というか
ストーリーが明確。実はちょっとがっかりしたんですが。井上本は意味わからんとか
普段ぎゃーぎゃーわめいておきながらちゃっかりソレを期待していたり。

うーん。長い!岡嶋系のような無駄をはぶいたスピード感、というのがないため
余計(まあ比べるのが間違いです)そう感じるのですが、ここまで長くする必要が
ない内容だった気がします。
おおよその展開は中盤で読めてしまうので。
元々構築していた真相どおりだった、というのも減点要素です。伏線らしき伏線もないし
かといってあの独特な文章世界も希薄、となればこんなものかな、とも思いますが。。。

ラストの感動的なクライマックスと、かけひきのスリルが良かっただけに
あと数ページのところで「やっと面白くなった!」というのが残念。
もう少し、長い退屈な過程を「謎の頭の中の女性」の人物描写を掘り下げることに
使っていてくれれば、また変わったのでしょうが。。。
これじゃただのむかつく人です。。。


ラストが、哀しいのって嫌い。(結局入り込んでいる^^;)