すべてが猫になる

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火星に住むつもりかい?  (ねこ3.7匹)

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「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。その管理下、住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は、衆人環視の中で刑に処されてしまう。不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒ずくめの「正義の味方」、ただ一人。ディストピアに迸るユーモアとアイロニー。伊坂ワールドの醍醐味が余すところなく詰め込まれたジャンルの枠を超越する傑作! (裏表紙引用)

 

 

伊坂さんの文庫新刊。タイトル的に「SF?」と思っていたんだけど普通に違った(笑)。

 

舞台は仙台。近未来フィクションなのかな?「平和警察」が権力を持ち、魔女狩りよろしく国に不都合な人間を冤罪にかけ処刑する世の中――。いやあ、気分悪い(笑)。とにかく連行される人がことごとく無実なのだから。一般市民の誰かが嫉妬や恨みで無辜の人々を密告するっていうのがひどい。しかも一度疑われたら逃げようがないっていう。救いは、処刑や拷問の場で無作為に現れる正義の味方。この武器が意外なものを使っていてちょっと笑えたりする。

 

でもやっぱり悪い意味で伊坂作品らしいというか。駄作では決してないのだけど、腹の立つ人間を描くのが誰よりもうまいっていう。。嗜虐的趣味の連中や悪い人間が痛い目に遭うあたりも伊坂さんらしいけど。だからってスカっとしたわけでもないなあ。この世界はいつまでも続くんだろうし、結局世の中のバランスはどちらに傾いてもどこかが狂っているってことなんだから。

 

うーん。面白いんだけども。登場人物が多い割に覚えやすかったし。でも、うーん。