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特捜部Q ―知りすぎたマルコ―/Marco Effekten (ねこ4匹)

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ユッシ・エーズラ・オールスン著。吉田薫訳。ハヤカワ文庫。

 

犯罪集団によって物乞いやスリをさせられてきた少年マルコ。組織から脱走を図った彼は、逃げ込んだ先で腐乱した男を発見する。その死体には、巨悪の思惑が絡み合う国際的な陰謀が隠されていた。一方、カール警部補が率いる特捜部Q。未解決の変死事件を調査していた助手のアサドとローセたちは、ある外務官僚の失踪に疑いを抱くが…。個性溢れるキャラクターたちが大人気、これぞ世界レベルの警察小説。シリーズ第五弾。(裏表紙引用)
 
特捜部Q 知りすぎたマルコ


特捜部Qシリーズ第5弾は、カメルーン開発プロジェクトのリーダーの失踪と物乞いの少年が森で見つけた他殺死体がどこでどう結びつくのかが主体の物語。読者側は失踪に関わった銀行監査役会会長や外務省の事務局長の視点と物乞いの少年・マルコの視点を交互に読むことになるので筋は見えているのだが、いかにマルコが悪の手から逃れるか、犯罪者の悪事がどうやって暴かれていくのか、そして彼らが特捜部Qと接触するのはいつか――を楽しみにしながら読むことになる。

 

特にキツいのはマルコの章で、生まれた家を間違えたために奴隷同然の暮らしを強いられてきた少年の「普通に暮らしたい」という願いが痛々しくも切実で辛い。いい子なのに、スリをさせられ殺人の汚名まで着せられて、可愛がってくれていた人たちにさえ憎まれるようになる。早く、早くカールはマルコを見つけてあげてと祈らずにはいられなかった。無法者のため警察に駆け込むこともできないマルコ。でも、捕まって殺されるぐらいなら警察に保護されたほうがいいんじゃないのかと思う自分は甘いのかな。このシリーズ、読めば読むほどデンマークには住みたくないなあと思うばかり。

 

ところでカール、モーナに振られました。゚(゚ノ∀`゚)゚。
というわけなので、上巻のカールはほとんど役に立たない。アサドは前回満身創痍だったけど見事な復活を果たして張り切って捜査してるし、ローセは風貌もやることもおかしいけどマルコの件に気づいてくれたし大活躍と言っていい。アサドはますます何者やねん感が強くなって来たが。ヤコプスンとの関係は一体??キャラクター的には新入りのゴードンは気に入らない、カールの新恋人?リスベトは人が出来すぎててカールとは合わないなーとしか。次回どうなってるかな。

 

ちなみに好みは
1「Pからのメッセージ」
2「檻の中の女」
3「カルテ番号64」
4「知りすぎたマルコ」
5「キジ殺し」