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毒草師 QED Another Story (ねこ4匹)

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高田崇史著。講談社文庫。

 

「恐ろしいのは毒草ではなく人間です」。名家・鬼田山家で、「一つ目の鬼を見た」と言い残し、施錠された離れから家人が次々と失踪する事件が発生。さらに長男・柊也が何者かに毒殺され…。関係者全員を前に、古今東西の薬と毒に精通した“毒草師”を名乗る男・御名形史紋が、鮮やかすぎる推理を披露する!(裏表紙引用)

 


高田さんの人気シリーズ「QED」からのスピンオフシリーズ。べるさんにQEDの続きよりコッチのほうがいいわよと教えて頂いたので(←べるさんの下僕)。(あっちも読むけど)と、いうわけで「あの御名形史紋」と言われてもどの御名形史紋だか分からないのだが、たいりょうさんに「分からなくても大丈夫」と太鼓判を押されたので大丈夫なんだろう。

 

で、内容は。思っていたよりもずっと本格ミステリだった。最初から最後まで薀蓄祭りだったらどうしようと思っていたのだが、薀蓄は全体の1/10程度。その薀蓄もまあ、全部必要かと言われたら困るのだけど、「在原業平が藤原家の娘に惚れて彼女を連れ去り、とりあえず蔵に彼女を隠したところ、鬼に彼女を食べられてしまった」ってところだけ理解していれば大丈夫かと。歴史は得意ではないが、百人一首などは丸暗記したことがあるのでそのあたり面白いかな。「よみ人しらず」の本当の意味とか知らなかったからビックリしたし。正直ギリシャ神話のほうは苦手なので、キュクロプス云々の薀蓄には閉口したが^^;


密室殺人事件のトリックや動機云々すごいっていうよりは、やはり御名形史紋のキャラクターに惹かれるタイプの小説かも。語り手の運の悪そうな隣人(笑)・西田くんも人が良すぎて可愛かったし。いちいちたとえ話が面白い。ミステリ的には意外性の高いストーリーになっていたし最後まで目が離せなかった。薀蓄部分以外はマンガみたいに読みやすいし。まあ、この好評価は私自身の好みってことで。かなり気に入った。

 

で、次作が絶版っていうね(´;ω;`)。。。しかもこのシリーズ、出版元がコロコロ変わってるっていう一番イヤなパターンだ。読むけどね。