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世界記憶コンクール  (ねこ3.8匹)

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三木笙子著。創元推理文庫

ある日、萬朝報に載った『記憶に自信ある者求む』という求人広告。見たものを瞬時に覚えられる博一は、養父の勧めもあって募集に応じた。見事採用となり、高い給金を得て記憶力の訓練を受けていたのだが―。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、二人の青年をはじめ明治の世に生きる人々の姿を人情味豊かに描いた、「帝都探偵絵図」シリーズ第二弾。表題作を含む五話収録。 (裏表紙引用)


BLではない帝都探偵絵図シリーズ第2弾~。

明治を舞台にした、天才美形絵師の有村礼と雑誌記者高広を中心としたちょっと軽快でなんとなく粋なミステリー。な、なんと、5話中3話がスピンオフ(笑)。


「世界記憶コンクール」
 二人の掛け合いがちゃんと楽しめる数少ない作品。美人コンテストとか文章を記憶してバイトになるとか、ホームズの「赤毛連盟」をモチーフに犯罪を明るみにしていきます。文庫版ではネタバレに関する注意書きがきちんとございます。


「氷のような女」
 氷というものがまだ「食べるもの、飲むもの」でしかなかった、貴重な時代。悪い水で氷を作って売るなんてなんてひどい。よし乃と基博のラブストーリーのほうが面白かったという。


「黄金の日々」
 タイトルがいいなあ。青春だなあ。本作の主人公・恵は前作に出てきたそうですがわかりまちぇん^^;美術学校に通っていたころの、才能ある少年たちの友情ストーリー。これもまた、嫌われ者の幸生への態度が変わって行ったくだりのほうが好きだったな。


「生人形の涙」
 ある盗難事件を扱ったもので、その隠し場所や発見する手段もなかなかドラマティック。高広と礼の出会う前のお話なので、ほぼ礼は出てきませぬ。


「月と竹の物語」
 竹取物語をモチーフにした物語。これは単行本には入っていないそうで、スピンオフではなく高広と礼の謎解きになっております。


以上。

ほぼスピンオフだけど、自分がこのシリーズを気に入っているのはBLの匂いではなくやはり時代雰囲気だということがわかる。ミステリ的にはなんてことないが、この独特のしっとりした空気なのよね。