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四季 春  (ねこ3.8匹)

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森博嗣著。講談社文庫。

天才科学者・真賀田四季。彼女は五歳になるまでに語学を、六歳には数学と物理をマスタ、一流のエンジニアになった。すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考するその能力に人々は魅了される。あらゆる概念にとらわれぬ知性が遭遇した殺人事件は、彼女にどんな影響を与えたのか。四部作第一弾!(裏表紙引用)


22.2.15再読書き直し。

 

※自分のまとめ用記事です、完全ネタバレなのでご注意。

 

真賀田四季の幼少期(5~6歳)のお話のプロローグというべき第1弾。

いかに四季の能力が高かったか、ということと、四季の別人格である栗本基志雄、四季の兄である真賀田基志雄(殺人者、ときどき透明人間)、「僕」こと透明人間氏の3つ(四季を入れれば4つか)の視点で描かれる。四季の母親の姉の名前は百合子・クリムト。とにかく誰の思考なのかたいへんややこしい。病院(施設)が舞台となっていて、看護婦が殺害され医師が犯人であるという一つの事件を四季が鮮やかに解決…するが、このあたりは添え物でしかない印象。真賀田基志雄は、自分の母親が百合子だと知ってしまった(四季は幼少期に目撃して知っていたが、兄には黙っていた)ため自分の存在を消したがった。最後は母と共に心中。四季の冷静さと垣間見える人間らしい感情が印象的。

 

Vシリーズからは各務亜樹良と紅子さんが登場。紅子さんと四季(内面は栗本のほうの基志雄)が図書館で出会ったあのシーンが描かれる。ラストで幼児の萌絵と西之園恭輔もパーティーで四季と出会っている。

 

なるほど、たしかに森シリーズの中では重要な位置づけとなる四季シリーズ、だ。