本郷はＤ坂の長屋の一軒にある古本屋の女房が密室で殺された！古本屋の常連であった「私」は、
友人で、古本屋の女房の幼なじみだという明智小五郎と共に、その事件の第一発見者となった。
電灯のスイッチには明智の指紋。怪しい人物の服の色について全く異なる証言をする容疑者達。
私と明智は、事件を推理するがーー。（短編）
今まで続いて来た怪奇寄りの乱歩作品から、本作で少し雰囲気と作風が変わる。
大衆向きに読みやすくなり、体裁も、事件の発端を＜上＞、解決編を＜下＞と分割し、
本格ミステリ一直線である。そして、何が今までと違うかと言えば！！！
歳の頃は２５歳、もじゃもじゃ頭に木綿の着物、肩で風を切った飄々たる歩き方、
「愛嬌のある天才的な好男子」、これと言った職業を持たず探偵小説が大好き、そして
後に「少年探偵団」を結成し、一躍国民のスターに躍り出た「あの人」が初登場するのである。
さあ、ご紹介しましょう！！明智小五郎さんです！！（しーん）
え、えーと＾＾；、では作品について。。
トリックは、日本家屋でも密室殺人は成り立つんだぜ！という信念の元に考案されたという
意欲的なもの。ネタバレになるので適当に書くが、明智の推理作法である
「物的証拠なんて後でどうにでもなる、大事なのは心理的に人の心の奥底を見抜く事だ」を
体現した形か。本作の次に発表された「心理試験」に繋がっている模様。
久々に読み返したが、感じた事は「あれ？これってこんなに面白かったっけ？」だった。
トリック、捜査法に時代を感じるのだけど、これがまたいいんだなあ。。（ひいき）
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光文社文庫「江戸川乱歩全集」第１巻『屋根裏の散歩者』収録。
創元推理文庫「乱歩傑作選」第２巻『Ｄ坂の殺人事件』収録。
春陽文庫「江戸川乱歩文庫」第４巻『Ｄ坂の殺人事件』収録。
新潮文庫「江戸川乱歩傑作選」収録。
