すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

スケルトン・キー  (ねこ3.9匹)

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週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を上げることで、自分の狂気を抑え込むことができるからだ。最近は、まともな状態を保てている。でもある日、児童養護施設でともに育った仲間から電話がかかってきて、日常が変わりはじめた。これまで必死に守ってきた平穏が、壊れてしまう―僕に近づいてはいけない。殺してしまうから。あなたは死んでしまうから。 (裏表紙引用)



ミッチー新刊。私好みの黒いミッチー復活ということで、早急に入手。

 

世界観は好み。ほぼ一気読み。


児童養護施設で育った錠也は週刊誌のスクープ撮りを手伝うなどして生活を支えている。心の奥に潜む悪の心を日々薬で抑えている錠也だったが、自分の出生の秘密を知ってしまったことである決心をする。やがて暴力は暴力の連鎖を生み……というお話。

 

暴力シーンがリアルで結構きつい。死ぬほど頭を殴られた人間ってこうなるんだと恐怖を感じたし、そのためらいのなさに引いた。暴力が日常的になっている先生なんかも気分良くはなかったな。錠也は孤独なサイコパスだけど、友だちのうどんとか初恋のひかりさんとか色んな人に支えてもらえているのに…生まれつきって本当にあるんだろうか。

 

本作はあまりネタを割れないのでどう書こうかな。。中盤に今まで読んできた視点が狂わされるとだけ言っておこう。普段ならば○○ネタを出された時点でアンフェアだと思ってしまうのだけど、テーマに沿っているからセーフだな。

 

感動的な「鏡の花」を彷彿させるラストだけども。錠也が完全な常識人ではなかったから、あまり響いてこなかった。他人の言葉の間違いをいちいち指摘するところとか好きじゃなかったし…。○○○ともアレだったのは結局母親の身体に入った鉛が原因なのかどうかハッキリは分からないけど…生まれつきの悪なんてないよという希望を表現したのだろうかな。