すべてが猫になる

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アイルランドの薔薇 (ねこ3.9匹)

石持浅海著。光文社ノベルス。デビュー作です。

北アイルランドの政治状況が生んだ『嵐の山荘』!日本人科学者・フジの推理が、
犯行の動機に迫る」
………なんかかっちょいいので引用してみました。ここ太字ね。


正直あらすじを読んだだけではNCFやらアイルランド和平やらなんのこっちゃ?になるのかと
びくびくしていましたが、ご安心を。
大変読みやすいです。びっくりするくらいさくさく読めます。あほな私でも十分ついていけます。
まあ、アイルランド紛争とかコレを読んで「把握したよ!」とは死んでも言いませんが。えへ。

登場人物が多いし、国籍もまちまち。例によって「登場人物紹介」ページに指をはさんで
読まないとわけわかりません。

探偵役のフジがこれでもか、というくらい完璧な人物に描かれているので萌える通り越して
ちょっとひいてしまった。これ、もし映画化したら観る人に説得力植え付けるのホネでは
なかろうか、といらん心配してみたり。NCFの外人さんが(悪役)尊敬するほどの日本人…。
うーん。

ラストの推理お披露目会で冴えまくるのはどの作品でも見られますが、フジときたら
挫折なし袋小路なしで素晴らしい脳みそを披露しまくり。人柄もいい。仕切る仕切る。
皆従う従う。まあでもこういうのは嫌いではありませんよ、ええ。

なかなか読ませる作品ではありましたが、犯人に意外性がなかったのと、トリックに斬新さが
なかったなあ。動機や、フジが仕掛ける罠は面白かったので残念だ。あと、読者が「そんな気が
してた」的どんでん返しはいりませんでした。。
いや、十分面白い作品なんだけど、なぜかちょっと辛めで。